こんにちは、スタッフ野田です。
「セカンドベスト その4(最終回)」です。
9ボールや10ボールなどの狙える的球が1つだけのゲームではショットの選択肢が非常に少ないことが多いために、1つ方法が思い浮かぶと他の可能性を考えようとしなくなってしまう傾向があります。
ショットの態勢に入る前に「本当にこれしか方法はないか?」と一度立ち止まって確認するということも重要です。
さて、今回の配置です。ゲームは9ボールです。
残りの的球は、7・8・9番の3個ですが、7番に対して手球はフリなしの真っ直ぐな配置です。
あなたならどうしますか?
おそらく誰でもが最初に考えるのは、引き球で下図のようなポジションを取ることでしょう。
8番に少し右フリになるように引ければ最高ですね。こうなれば取り切りは間違いないでしょう。手球・的番間の距離はそれほど遠くないので、引くこと自体は難しくはありません。
しかし、この距離で8番に対して適度な右フリになるポジションをとるのは、かなり高難度です。この図の位置でも少し引きすぎているぐらいで、有効な範囲はかなり狭いのです。
一般的に引き球は押し球に比べて加減を調整することが難しいのです。
もし7番に少しでも左フリがあるのなら、押し球で左の短クッションから跳ね返す方法もあります。
しかし、これとても加減の調整は簡単なものではありません。
引き球をするとして、もし引きすぎた場合はどうなるでしょう。
この配置では8番をサイドに入れるのが非常に薄くなり、8番をポケット出来たとしても手球を左の短クッション近くで止めることが難しくなります。
8番を左下コーナーに取っても9番へのポジションは困難です。
逆に引き足りなかった場合を考えてみましょう。
8番が真っ直ぐになったり、少しだけ逆フリというこのようなポジションになったら大変です。こんな配置になって、穴フリや反対側への大回しを試みて失敗したという方も多いでしょう。
実際、こんなわずかなフリで手球を大回しするには相当なパワーが必要です。
強い左ヒネリを加えて長・短・長の3クッションなら左の短クッション近くに持ってこれるかもしれませんが、手球は左下コーナーへ向かうので、9番に対して良いポジションとなる可能性は低いでしょう。
ではどうすれば最善なのでしょうか。
このセカンドベストのブログを最初からお読みいただいている方にはピンときたのではないかと思いますが、答えはストップショットです。少しだけ引くぐらいの加減でショットするのが良いでしょう。
手球が前に動かなければOKです。
これは8番を右フリにするという選択肢を捨てて、大きく左フリにして反対側のクッションからもってくるというものです。
フリが少ないと手球を大きく動かして9番へポジションすることが難しくなるので、ストップショットで充分な左フリを確保するわけです。ストップショットですから、8番をミスする危険はほとんどありません。
この位置から9番にポジションする方法はいろいろありますが、これは自分の最も得意とする方法を選べば良いでしょう。
ヒネリと力加減の調節をしなければなりませんが、いずれも難しいというほどのショットではありません。
是非これを参考にしていただいて、最善と最悪の両方のポジションを考えてみてください。
このシリーズは、とりあえず今回で終わりますが、また参考になりそうな配置などがありましたら随時ご紹介していきます。
最後に多くのビリヤード関連書籍の著作がある Phil Capelle 氏の言葉をご紹介しましょう。
Phil Capelle 氏です。↓ うしろに彼の著書がたくさん並んでいます。
"Plan not only for what you want to have happen, but also for what you want to avoid."
「あなたが望む結果のことだけではなく、避けなければならない結果のことも 同時に考えなければならない」
つまり、上手くいった時の事だけを考えてショットを選択するのではなく、上手くいかなかった場合にどうなるかも考えに入れなければならないということです。
スタッフ野田が座右の銘にしている言葉の1つです。
残念ながら彼の著書の日本語版は現在出版されていないのですが、キューショップジャパンには多くの参考文献があります。