こんにちは、スタッフ野田です。
ブレイクして的球が適度に散り、取り出しの球がイージーボールだったら「マスワリチャンス!」とどなたでも思うことでしょう。しかし現実はそれほど甘くはなく、何個かの的球がくっついてしまい、これを散らさなければランアウトはできないという配置になることも多いですね。
そこで今回は、こういった的球のカタマリ(クラスターと呼びます)を壊す際についてのお話で、あらためてビリヤードが如何に微妙なタッチを要求するものであるかを説明してみたいと思います。
このブログでは羅立文プロの14-1ゲームの1ラック取り切りをいくつもご紹介していますが、ほとんどのショットが中級者クラス以上ならまず外さないと思われるような簡単なもので構成されています。
しかしその影には一見何の変哲もないけれど、未来につながる工夫がされたショットがたくさんあるのです。
難しい球をスーパーショットで見事に沈めることは確かに華(はな)があり、上級者と呼ばれるためには必要な要素の1つではありますが、手球や的球のポジションを正確にコントロールすることも、地味ではありますが欠くべからざる大切な技術です。
では配置図です。ゲームはナインボールです。
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相手プレーヤーがブレイクしましたが、ノーインであなたの番です。
1番は問題なくポケットできますが、次の2・3番がくっついています。
この2・3番さえクリアできれば、残りは取り切れそうですね。
幸いなことに1番を入れたあとに手球をこのクラスターに当てることは容易にできます。
こんな時、とにかく当たって壊れればよいと思って、適当に撞いてはいませんか?
当てること自体が難しいような配置であればともかく、この例のように容易に当てることができるような場合、どのように当てればよいかまで考えて、最善の形になるように努力すべきです。
ではどう当てれば理想的でしょうか?
まず確実にクラスターを壊すために2・3番の中心を狙った場合を考えてみましょう。
2番は3番との接線方向に動き、手球は2番から3番に当たって手前に戻ってきます。
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当たる厚みと力加減にもよりますが、結果として残るのはこんな
配置になると思います。
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運が良ければ2番を左下コーナーに狙うことができますが、
難球になったり、3番に隠れて見えなくなる可能性が高い危険なショットです。
動画でその様子を再現していますので、参照下さい。
では3番の方に当てたらどうなるか?
この場合2番はほとんど動かず、手球はやはり手前に戻ってきます。
↓
残った配置はこんな感じ。
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動画もご覧ください。
必ずこうなるというわけではありませんが、とにかくこの配置では3番に当てることが重要で、そうすれば次に2番が見えなくなるという可能性は皆無です。
手球が3番に薄く当たると2番も動くかもしれませんが、ポケットに近づく形になるので問題ありません。
このように結果を見れば明らかなことでも、これを事前に予測することは案外難しく、特に試合中などでじっくり考える時間が無い場合などはなおさらです。
こういった判断を素早く下すためには、知識は勿論のこと、経験が必要となるのです。
次回はまた違った状況でクラスター・ブレイクの解説をする予定です。
今回のようなことは、なかなか自分で気づくことは難しいです。
スタッフ野田は昔はむさぼるようにビリヤード関係の書籍を入手して研究していましたが、現在は分かりやすくて役に立つDVDがたくさんあります。
キューショップジャパンでも多数取り扱っていますので、ぜひご検討ください。