お客様から投稿された、40年以上前に製作されたアダム・キューです。
イベリア(IBERIA)というモデル名が付いています。
現在のアダムキューでは見られないデザインです。
1976年のアダム社のカタログにこのキューが掲載されています。
また、ブルーブックでもこのキューが紹介されています。
勿論、製作された当時にはコンピューター制御のCNCマシンもハイテクシャフトもなく、製作はすべて職人の腕前にかかっていました。
安定した品質で限られた期間内で多数のキューを製作しなければならないアダム社の職人には、少数生産のカスタムキューメーカーとは違った創意・工夫・努力が求められたであろうことは想像に難くありません。
フォアアームです。
ローズウッドにマザーオブパールのインレイで構成されたデザインです。
サークル状のインレイが特徴的ですね。上掲のカタログの中にもこのインレイを採用しているキューが何本か掲載されています。人気のあるインレイだったと思うのですが、このサークル・インレイは現在ほとんど使われていません。
これは、このような形のインレイが破損しやすいことが原因だったようです。キューは曲率の大きい円筒形で、そこにこのようなインレイを入れると、ぶつけたりした際に割れやすく、スタッフ野田もこのインレイに亀裂が入ったり脱落したりした古いアダムキューを何本か見たことがあります。
製作後に時が経つにつれてそのようなトラブルが多く出てきたためにこのインレイの使用を中止したようです。
バットスリーブです。
フォアアーム同様、ローズウッドにマザーオブパールのインレイで構成されています。大きなウインドウインレイと、それを意識したようなリングワークが目を引く優れたデザインだと思います。
CNCで複雑・精緻なインレイを多数施したキューも悪くはありませんが、限られた種類のインレイでも職人の腕前次第でこのような優れたデザインを作り出せるのです。
ジョイントです。
現在はあまりアダムキューには採用されない、5/16-18山のパイロテッドジョイントです。
10山やユニロック、ラジアルといったジョイントが主流となりマイナーな印象の18山ですが、このキューが製作された当時は多くのキューに採用されていました。1980年代にスタッフ野田が初めて購入したアダムキューも18山でした。タッドやジナキューも18山ですね。
マッチングデザインのリングワークがジョイントとシャフトのカラーに施されているのもいいですね。
現在キューショップジャパンにはムサシのスリークッション用キューが続々と入荷しています。
ムサシがあまり出回らなくて困っていたキャロムプレーヤーの方、今なら色々なデザインの中から選ぶことができます。
是非ご検討ください。