RICHARD BLACK CUSTOM CRAFTED CUES
テキサス州の古参キューメーカー、リチャード・ブラックのキューです。
このキューには「ブシュカ」というモデル名が付いています。
もちろんこれはかのバラブシュカを意味する名前です。
その名の通り、バラブシュカへのオマージュとリスペクトが至る所に感じられるキューです。
これは先日ご紹介した#091バラブシュカです。いろいろ相違点はありますが、雰囲気はそっくりなのがお分かりいただけると思います。
フォアアームです。
バーズアイメイプルに黒檀の4本ハギで、マザーオブパールのノッチドダイヤとドットのインレイという、まさにクラシックデザインの王道と言えます。
しかも、単にバラブシュカのデッドコピーというわけではないのです。
例えばリングワークにはバラブシュカとは違った個性があります。
ハギ部分のクローズアップです。
ベニヤが5枚入っているのがお分かりいただけると思います。
4枚ベニヤはよくありますが、5枚はあまり見かけません。
遠目では分からないのですが、茶色のベニヤが2種類続けて入っています。
通常はコントラストを付けるために異なる色調のベニヤを隣り合わせにするものなのですが、どんな意図があってこのようにしたのか興味深いです。
バットスリーブです。
黒檀にマザーオブパールのノッチドダイヤの周囲をドットインレイで囲む形になっています。
このキューはノッチドダイヤを四隅のドットで囲む形になっていますが、上掲のバラブシュカは上下左右を囲む形になっています。どちらも伝統的デザインの代表としてよく使われます。
バットキャップはデルリンです。
ジョイントです。
ステンレスのジョイントカラーが付いた、14山パイロテッドジョイントです。
2本のシャフトのブラスインサート(雌ネジ)の突起形状が少し異なるところも興味をひかれます。
片方のシャフトが別に製作されたのか、あるいは実験的に形状を変えてみたのでしょうか。
フォアアームに書かれたサインです。
名前と一緒に製作年度が書かれていることもありますが、このキューでは名前だけになっています。
製作年度を入れるルールというのは特に決まっている様子はなく、単なる気まぐれでそうなっているだけかもしれません。
こういった手書きサインはリフィニッシュすると消えてしまうので、キューは奇麗にしたいけれどサインが消えてしまうのは嫌だと悩む方もよくいらっしゃいます。こういった名のあるメーカーのものではなおさらで、サインがあるかないかが真贋の大きな判断基準になるのはもちろん、キュー自体の価値にも影響してしまいます。
世界でこれ1本というキューを所有したときの満足感は格別です。
絵画や陶磁器などの美術工芸品と同様に、製作者にはサインを入れるだけのプライドや情熱がその作品に注ぎ込まれていることの証明になっていると言えるのです。
キューショップジャパンにもそんな手書きサインやオリジナルロゴが光るカスタムキューがあります。