こんにちは、スタッフ野田です。
「ピカソ」改め、「ポケットハウス」となった第1号のご紹介です。
名称は変更されましたが、内容はピカソから引き継いでおり、大きく変わったところはありません。
どうして名称をピカソからポケットハウスに変更したのかを、編集長の村田さんに聞いたことがあるのですが、「ピカソ」の名称が商標登録されているため無断で使うのはまずいとアドバイスされたからだそうです。調べてみると確かに今でも商標として登録されているようです。人の名前を商標にするのはどうかと思うのですが、他にも「エジソン」など多くの人名が登録されています。
また、ピカソは左綴じだったのですが、ポケットハウスは右綴じに変更されています。
この理由も村田さんに伺ったのですが、出版に詳しいスタッフの意見でこうなったようです。
ピカソは最初全16ページで発行部数5000部からスタートしたのですが、ポケットハウスは最盛期を迎えた頃には90ページ以上、発行部数は2万部くらいあったそうです。
今で言う同人誌に近いような内容・装丁で発行部数が1万部を越えるような本はなかなかないと思います。
ではそのポケットハウス第1号をご紹介しましょう。
ピカソは表紙が絵だったのですが、ポケットハウスは写真に変わりました。
2ページ
ロサンゼルスクラブ(新関建設)の広告です。
プールバーが絶頂期を迎えたころであり、次々に新しい店舗をオープンさせている様子がこの広告から分かります。
3ページ
目次です。
右上に名称変更のお知らせが出ています。
4~7ページ
北方 謙三さんという人のインタビュー記事です。
スタッフ野田はこの方面の知識がないのでまったくわかりませんが、調べてみると作家(小説家)として有名な人で、武勇伝をいろいろお持ちのようです。
6ページに若かりし頃の村田氏の写真があります。
8~10ページ
キューのウンチク学についての記事です。
スタッフ野田の得意分野ですが、当時はアメリカのカスタムキューの知識などほとんどなく、この記事を読んで「すごいなあ、欲しいなあ」とよだれを垂らしていました。
いつかこの記事で紹介されているような本場のすごいカスタムキューを手に入れてやるぞと思っていましたが、まさかそういったキュー何百本も手にすることになるとは夢にも思っていませんでした。
10ページの冒頭にキューの値段を最も左右するのは材料であると書いてありますが、これは同じメーカーで同じ程度のデザインのものならという話ですね。確かに材料(高価な銘木や貴金属など)による差もありますが、それ以上に値段に影響を及ぼすのはブランドとデザインです。バットが丸ごと象牙とか貴金属と宝石の塊のようなキューはまた別ですが・・・
デザインが複雑になればそれだけ手間と時間がかかるので値段が上がるのは当然です。
全く同じような材料・デザインで作られたキューでも、メーカーによって値段に大きな差が出ます。
最新の技術、工作機械、塗料、接着剤などを駆使して作られたアダムやメッヅのキューは、半世紀以上前に作られたバラブシュカなどより高品質なのは疑いのないところです。しかし値段は後者の方が桁違いに高いのです。これは極端な例ですが、名職人として知られる人達の作った作品が高価なのはどの世界でも同じです。
11ページ
ジョス、メウチ、バイキングそしてザンボッティを所有するキュー・コレクターの紹介です。
当時は「ハスラー2」でバラブシュカとして使用されたり、マイク・シーゲル及びニック・バーナーの使用キューだった影響でジョス・キューに人気がありました。スタッフ野田もジョイントカラーにレーザー彫刻が入った限定品のジョスキューを購入したことがあります。
メウチのデビッド・ハワードモデルも買いましたが、使っているとインレイ部分の段差がどんどん激しくなってきて、いつ脱落するかと心配でした。
バイキングも買いましたが、使っていたらハギの部分がめくれてきて、よく見るとそのハギはインレイでもショートスプライスでもなく、厚手のプラスチック板をシールのように張り付けていただけのものでした。知人からも似たような話をよく聞きました。
ある雑誌記事で、メウチキューの社長ボブ・メウチが生産数を上げるために品質がおろそかになったことを認める発言が紹介されていたのを覚えています。
現在はジョス、メウチ、バイキングともに品質が格段に上がっており、こんな粗悪品にお目にかかることはないのですが、当時はブームでキューなら何でも売れるとばかりに各社とも生産数とスピードを優先して粗製乱造していたのでしょう。
12~13ページ
キューの選び方や保管方法についての記事です。
選ぶ際には曲がりがなく、木目がまっすぐで、節目がないなどの条件が書かれています。
現在販売されているキューのほとんどはこのような条件は満たしていると思います。
しかし購入時に曲がっていなくても、使っているうちにどうなるかは全くわかりませんし、いくら木目がまっすぐでもそれは曲がらないことを保証するものではありません。
バールウッドなどのデザイン的なものを除き、節目が出ているキューなどまず市場にはないでしょう。
安い買い物ではないので慎重に選びたくなる気持ちは分かりますが、残念ながら将来的に曲がらない(曲がりが少ない)キューを見抜くことは不可能です。
そんなことよりも撞いた時の感触やストロークした時のバランスなどを重視して選ぶことをお勧めしたいです。曲がっている場所にもよりますが、少しの曲がりなど殆どプレーに影響はないものです。
購入時に病的なほどわずかな曲がりに神経質な人がいますが、全く意味のないことであるとスタッフ野田は断言します。
14~15ページ
アダムの高平専務(現在は会長さんです)によるキュー製作の紹介です。
職人さんの中には、スリークッションのプロとして活躍した堀金さんもいます。
1ページだけの記事なので内容はかなりざっくりになっています。
実際には熟練工の高度で緻密な作業によってキューは作られています。
16~17ページ
広告のページです。
「幸福がくるビリヤード台」って、どんなものなのか見てみたいです。
18~19ページ
ブームにより、ビリヤード場の待ち時間が何時間にもなる現象が続いている様がこの記事から分かります。
スタッフ野田は渋谷の100台(!)を擁する某ビリヤード場を練習場にしていましたが、最盛期には開店から1時間足らずで満台になってしまいました。
一人で一台を占有することを禁止(実際にこれで入店拒否された経験があります)、もしくは一人撞きの料金を高く設定しているビリヤード場も多かったです。
20~24ページ
アメリカのビリヤード事情をレポートする記事です。
PBA(アメリカプロビリヤード連盟)の活動や優勝賞金が4万ドルだったり、当時まだ34歳だったマイク・シーゲルが年間7万ドルの賞金を稼いだなどのお金の話から、キース・マクレディやバディ・ホール、ジーン・バルーカスといった懐かしい名プレーヤーたちについても書かれています。
ジャンピー・ジョーンズのニックネームがあるサミー・ジョーンズの独特のシャフトジャンプ(現在のルールでは使えませんが)も紹介されています。スタッフ野田は全日本選手権で彼のジャンプショットを間近で見たことがあり、その正確さに度肝を抜かれた思い出があります。
ルールについて、現在では常識となっているシュートアウト(プッシュアウト)の紹介もされています。
この頃はまだ国際的なルールの確立などできておらず、日本ではシュートアウトどころかテキサスエキスプレスルールも普及していなかったと思います。
アキュー・スタッツ(ACCU-STATS)の紹介もあります。アキュー・スタッツといえばビリヤードの試合のビデオを販売している会社だと認識している方が多いと思います。
2009年版のアキュースタッツのビデオカタログです。
ビデオの販売がメインの「ビデオ・プロダクションズ」となってしまいましたが、アキュースタッツの名称が示すように元々は一流プレーヤーたちの能力を分析・評価してランク付けするシステムを売りにするものでした。統計データを取るために試合をビデオで記録していたらそのビデオが欲しいという人が現れたというのがビデオ販売のきっかけでした。
TPAという数字がトッププロは90%くらいあると書かれていますが、これはセーフティなどを除く的球を入れようとしたショットの総数に対するポケット成功率を表しています。90%ということはナインボールでトラブルのない配置ならミスがあっても1回程度しかないことを意味します。
25~27ページ
広告とアメリカンプールプレーヤーという新コーナーの紹介です。
28~29ページ
東京のビリヤードマップです。
ピカソの時にもありましたが、ビリヤードブームにより様変わりしているのが分かります。
ロサンゼルスクラブだけで6件もありますが、現在は1件も残っていないですね。
もちろん実際にはこの何倍(何十倍?)もビリヤード場(プールバー)がありました。
30~31ページ
奥村プロのビリヤード教室です。ピカソから引き続いての掲載です。
今回は空クッションについてです。
ビリヤードでは光が鏡に反射するようにいつも入射角と反射角が等しいとは限らないということが最初から言及されています。
32~33ページ
コンビネーション・ショット(コンビ)と曲球の解説です。
スロウにより的球の方向が変わることが示されています。
図①のようなコンビの場合、2つの的球がまっすぐポケットに向かって並んでいるならよいのですが、少しフリがある場合は第1的球で第2的球をカットすることになるため、そこで発生するスロウのことも考えに入れて狙わなければいけません。つまり第1的球を第2的球に少し薄く当てなければならないということです。
33ページで紹介されているファンシーショットは最も有名なものの1つです。
左側の図の配置は4個の的球がほぼ同時にポケットするもので、セットも簡単なのでスタッフ野田も息抜きにこれで遊ぶことがあります。
単純ですが初心者を驚かすには充分です。
34~35ページ
ストレートプール(14-1)の紹介記事です。
ページ数が少ないのでごく基本的なルールのみの紹介にとどまっています。
なお、この記事の中に的球の飛び出しはファールにならないと書いてありますが、現在は他のゲーム同様14-1でもファールの扱いになっています。
前号(ピカソ8号)のビリヤードクイズの解答が掲載されています。
スロウを使って的球の進行方向をずらすのと、的球にフローズンした手球を撞きだす方向によってコントロールするものです。二等分線方向に撞きだすと説明されていますが、実際にやってみるとそれでは上手くいかない場合もあると思います。これについては後日、「不可能を可能にするショット」で取り上げようと思っています。
36~37ページ
映画の紹介です。
「ビリヤード狂の映画ノート」なのに、ビリヤードとは何の関係もない映画のようです。
38~39ページ
ビリヤード場とプールバーの比較記事です。なかなか面白いですね。
流行性については、ビリヤード場→ある訳ない、プールバー→最先ターン
雰囲気は、ビリヤード場→アットホーム、プールバー→カッコイイ
当時多くの人々がプールバーに押しかけた理由はこの2点が理由だったのでは
ないかと思います。
40~41ページ
シネマ&ミュージックのコーナー。
スタッフ野田はいつも読み飛ばしていました。(^_^;)
42~43ページ
読者からのお便りコーナー。
若い人からの投稿が多いですね。
キューが欲しいと言う要望も多く、本気でビリヤードをやろうとする人がたくさんいたことがわかります。
44~45ページ
広告のページです。
46~47ページ
トーナメントについての記事です。
大橋名人(後にプロ転向)の名人位防衛や、スリークッションの住吉プロがベルギーで活躍したことが写真入りで紹介されています。
参加費5000円の山水カップの商品がグアム旅行ペアチケット・・・バブルですなあ。
48~49ページ
「ナンバー・ワン」というスヌーカーの映画が紹介されています。
おそらく日本では一部の映画館での封切りだったと思います。
調べると確かに1984年にイギリス映画として製作されているようなのですが、スタッフ野田は未見で、ビデオも見たことがありません。どなたかご存じの方いらっしゃいますか?
プール・バー経営ノウハウのビデオ販売の紹介もありますね。値段は10万円となっていますが、買う人はいたんでしょうか。
50~51ページ
「ピカソレディ」「ピカソガール」改め「CUEートなハスラー」です。
「ポケットハウスになってもこのコーナーやるんかい! しかもカラーページとはどういうこと? 奥村プロのページを増やせ~!!」と当時のスタッフ野田は憤慨していました。
よほど人気があったのか、スポンサーの圧力か、はたまた編集長の個人的好みか・・・
52~53ページ
プレゼントコーナーです。
アダムの他にアダーチからもキューの提供がされています。
奥村・三浦プロのサイン入りTシャツは欲しいかも。
ビリヤード関係の書籍が幾つかありますね。「やさしいポケットビリヤード」「POCKET BILLIARD INSTRUCTION」「スポーツコミックガイド ビリヤード」・・・スタッフ野田はもちろん全部持っていました。
54~55ページ
編集後記です。
編集部の住所が変わった旨のお知らせがあります。
本が売れて、手狭になってきたんでしょうか。
裏表紙
ヒノーズオープンの案内です。
優勝賞金100万円、総額300万円! ・・・・バブルだなあ。
近日中に第2号をご紹介します。
インターネット全盛の現在でも、紙のメディアは大きな利便性を持っています。
参考書を読むことがビリヤード上達の大きな助けになることも多いです。