スタッフ野田です。
5月某日、東京にある三井川製作所の工房を訪問してきましたので、今回から何回かに分けて工房の様子とどのように三井川キューが作られているかをご紹介します。

三井川製作所はキューメーカーとしては新しく、キュー製作に必要な機材が全て工房に揃ったのが2021年2月頃で、三井川キューの第1号が出来上がったのは同年の9月頃でした。
メーカーとしては新しいですが、そこで働く3人の職人さんはいずれも長年のキュー製作の経験を持つべテラン揃いです。
工房の規模は大きなものではなく、クオリティを重視していることもあり、月産10本程度の製造数となっています。
高い品質で製作されている三井川キューはすでに各方面で高い評価を得ており、そのため現在すでに供給が需要に追い付かず、納期が2年半以上かかる状況となっています。
設備の改良や工程の見直しなどをしてはいますが、手間のかかるフルスプライスのタケノコハギキューが主力製品であり、急いで作って品質を下げるわけにはいかないので、製造本数を増やすことはなかなか難しいようです。

ではまず工房入り口に掲げられている看板のご紹介から。

ビリヤードテーブル型の看板です。
背景が緑なのは、もちろんラシャをイメージしているからでしょう。
三井川というブランドネームは3人の職人さんの名前(三田村・永井・川島)から1文字ずつ取ったものです。これは永井氏のアイディアだったそうです。


3人の職人さんたちです。左から、三田村・永井・川島の各氏です。
「三井川」の文字は直線で構成されており、これはロゴマークとしてキューのバットキャップに入れられています。


三井川の3文字が横置きで配列されていますが、このロゴは縦に読むこともできます。


なかなかよく考えられた面白いデザインですね。

工房内をご紹介していきましょう。
一部企業秘密の設備などもありますので、内部を全部はご紹介はできないのですが、キュー製作の工程に沿って、どのようにキューが出来上がっていくかを説明したいと思います。


工房内の一部です。
限られたスペースに旋盤などの機材や材料が機能的に設置されています。



原材料となる銘木のストックです。
三井川製作所では、銘木をなるべく国内の業者から直接現物を見て確認しながら仕入れています。
スタッフ野田は、大きな板材がたくさんあることに驚きました。
キューメーカーは銘木を角材の形で仕入れていることが圧倒的に多いのです。それは角材の方が
すぐに旋盤にかけて丸棒にできるので、わざわざ板材を切り出す手間が省けるからです。
なぜ板材が多いのかを聞いてみたところ、板材なら不良部分を避けて木目(杢目)の良い部分を選んで切り出して使うことができるからということでした。
手間をかけても良い材料を使いたいということからも三井川製作所のクオリティに対するこだわりが分かります。
角材で材料を仕入れた場合、一部に不良部分があった場合にその角材を丸ごと廃棄するか、小さい部品を切り出してインレイやリングの材料にするしかありません。材料の選定を厳しくすればするほど廃棄する角材は多くなり、例えばジナキューの製作者アーニー・ギュテレスの自宅の暖炉の横にはそういった角材が山のように積まれています。
板材から切り出すというのは、なるべく材料を無駄にしないという意味もあるのかと思います。

三井川キューの製作とは直接関係ないのですが、スタッフ野田の興味を引くものが工房内にありました。

ガス・ザンボッティとジョン・デイビスのべニヤが額に入れて展示されていました。
ガス・ザンボッティの名刺も一緒に飾ってあります。
ザンボッティのベニヤは永井氏が99年にザンボッティの工房を訪れた際にガスの息子バリーからプレゼントされたものです。
ガス・ザンボッティは三井川製作所と同様にベニヤの着色を自前で行なっていました。
ジョン・デイビスの名前をご存じない方も多いと思います。彼はバートン・スペインと一緒に他のキューメーカーにブランクを供給する仕事を主としていたので、彼自身のブランドのキューが世に出回ることはあまりなかったのです。
しかし彼が製作したブランクはバラブシュカをはじめとして多くのキューメーカーに利用されました。キューメーカーを陰で支える縁の下の力持ちといった存在です。
永井さんもかつて彼からフルスプライスの材料を買っていた時があり、展示されていたのはその際にオマケで付いてきた(?)ベニヤなのだそうです。

三井川製作所ではカスタムキューの修理も得意としており、特にアメリカ製の古いキューの仕様についても多くの知識があるのですが、この展示はそれを示しています。
古いカスタムキューの修理でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

次回はキュー製作に使用する工作機械の数々をご紹介する予定です。

三井川製作所のキューは要望が多いために、なかなか販売用在庫が確保できませんが、ご希望の方には入荷時にお知らせいたしますので、商品ページにある「再入荷お知らせメール登録」をご利用ください。

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