こんにちは、スタッフ野田です。
キューの扱い方その3をお送りします。
前回の最後に、シャフトを外す際の注意をお話しましたが、付ける際にも注意があります。
シャフトが緩んだままキューを使用することは避けなければなりません(ジョイントのネジ山をいためたり、緩みが出る可能性があります)が、だからといってあまり強く締めるのも良くありません。これはジョイントピンが抜けてきてしまう可能性があるためです。
ジョイントピンはバットにねじ込まれて接着剤で固定されていますが、バットは木ですからジョイントピンを保持する力には限界があります。また、ジョイントピンではなくシャフト側の雌ネジ部品(ブラスインサートと呼ばれます)が抜けてくる場合もあります。初期のユニロックジョイントではこれがよく見られました。
ユニロックのジョイントピンとブラスインサートです。
力任せに強く締めるのではなく、手ごたえがあるところまでしっかり締めるといった力加減にしてください。
シャフトをジョイントピンに差し込む際にも注意があります。まっすぐ差し込まないと、雌ネジ側のネジ山をナメてしまうことがあります。特に雌ネジがシャフトに直接刻まれている10山などの木ネジタイプのジョイントは要注意です。
これを防ぐには、シャフトを押さえながら、まず左(緩む方向)にゆっくり回して、ネジ山が一段落ちたところ(カタンと音がします)から、右に回してください。
ユニロックやラジアルピン、メッズのユナイテッド・ジョイントやウェイビー・ジョイントなどは構造的にこれを防ぐようになっていますので安心です。逆にベンダーやサウスウエスト、カーセンブロックなどの山数が多い木ネジは特に要注意です。
ベンダーのジョイント 3/8-14というネジです。
さて、キューで遠くにある球をたぐり寄せることがよくありますね。また練習のために的球を離れた位置に置くためにキューを使うこともあるでしょう。
キューで①をたぐりよせるの図です。
その行為自体は別に問題ないのですが、その時に球の上をキューで叩いたりしていませんか?
「カチン!」と音を立てているのに平気な人が結構います。大したことはないと思っているのでしょうが、手元の動きはわずかでもキュー先は思いのほか早く動いて球にぶつかっているのです。そんなことを続けていればタップが浮いたり先角にダメージが及ぶのは当然です。
最後に保管方法です。
キューの保管は、温度・湿度の変化が激しいところを避けるというのが大原則です。
直射日光の当る窓際、エアコンの送風口の前、炎天下の車の中などはダメな例の最たるものです。人間が不快だと思うような環境は、キューにとっても良くないものです。
また、壁などに斜めに立てかけておくのもよくありません。短時間なら問題ないと思いますが、長期間そんな状態にしておくと自重で曲がってしまう可能性があります。
キューケースに入れて、湿気が少なく陽のあたらない場所に垂直もしくは水平に保管すれば大丈夫でしょう。キューケースに乾燥剤を入れておくのもいいですね。
ただ、あまりに長期間キューケースに入れっぱなしにしておくと、ケースの内装材とキューの塗装が癒着してしまうことがありますので、時々取り出してチェックしてください。
最も良い保管方法といわれるのはキューを吊るしておくことで、キューメーカーの多くも吊るして保管しています。
ザンボッティの工房で、吊るされていた完成間近のキュー
こうすると、キュー自身の重さが常に垂直方向に働き、曲がりを防ぐ効果があります。
キューを吊るすための「キューホルダー・ハンガー」というゴム製の商品もあり、これを使えばどのようなキューでも簡単に吊り下げできます。
ベストな環境を整えるのは日本の住宅事情を考えると難しいと思いますが、できるだけそれに近い状態で保管するように心がけてください。
保管方法をいろいろ書きましたが、実は最も良いのは「キューを使うこと」です。
所有するキューのほとんどがコレクション用で、ずっと使わずに保管している私が言うのもなんですが、世の中のキューの99%は使われることを前提に作られています。
高名なキューメーカーのほとんどは、キューの外見だけでなく性能・品質にも自信を持っており、ぜひとも使ってもらってそれを感じて欲しいと思っているのです。
私がバリー・ザンボッティから注文したキューを渡される際に、「使ってくれよ」と言われたのをよく覚えています。
その時の写真です。
でも高価で貴重な8剣のザンボを使えと言われてもねえ・・・
これを使えば曲がりが多少は直せるかも?
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