こんにちは、スタッフ野田です。
テクニック講座シリーズ、今回のテーマは「3個先を考える」です。
つまり、1番を入れる際に3番のことを考えておくということです。
ナインボールなどで1番を入れて2番にポジションする際に、2番に対してどのような位置に手球をもっていくかはその次に狙う3番の位置によって決まります。
特にトラブルがないなら常に3個先を意識してうまくポジションしていけば、最後まで取りきれるはずです。
分かりやすい例を1つ挙げましょう。下図をご覧ください。
ナインボールで、残りは7・8・9の3個、手球はフリーボールという配置ですが、あなたはどこに手球を置きますか?
全くのビリヤード初心者なら、手球を置く場所はここでしょう。
理由はただ1つ、7番が入れやすいからです。
9番はおろか8番のことさえ考えていないかもしれません。
7・8番はポケットできるかもしれませんが、9番はどうしようもなくなるという典型的な失敗パターンです。
おそらくこのブログを読んでいる人の多くは下図のようにするでしょう。
9番にポジションするために8番にフリを付けることが必要だと知っているからこうするわけです。
最も単純な例なので、そんなの当たり前だと思われた方も多いかもしれませんが、実際のゲームの中では中級者レベルでも3個先の的球にポジションするために何が必要かをよく考えないでプレーして失敗する例を頻繁に目にします。
別の例をご覧ください。
やはりナインボールで残り3個の配置ですが、手球はフリーボールではありません。
7番はコーナーにまっすぐです。ストップショットすれば8番もほぼまっすぐになります。
押せば8番に右フリ、引けば左フリになります。
ゲームが8番で終わりなら迷わずストップショットですが、8番から9番にポジションするにはどうしたらよいでしょうか?
実際のところ他に妨害ボールがないので、どのフリでも9番にポジションすることは可能なのですが、それぞれの方法を1つずつ見ていきましょう。
まず7番をストップショットで入れた場合です。
フリがないので直引きです。テーブルの対角線に沿った長い距離を引かなければなりません。
手球と8番の距離がそれほど遠くないので、引くこと自体は問題ないかもしれませんが、当たり方が少し違うだけで、サイドやコーナーのポケットに向かう危険もあります。
また、この図はわずかに右フリができた例ですが、僅かに左フリになった場合などは強い押しをかけた逆ヒネリの2クッションが必要になります。
次は引き球で左フリにした場合です。
左の短クッションに入れて、そこからワンクッションで右の短クッションに手球を持ってくる方法です。
一見簡単そうに見えますがテーブルを縦に横切るため、わずかな厚みや撞点の違いでコースが大きく変わります。
もし中心真上の撞点でこの図のコースだとしたら、撞点が1mm左にずれただけで下のサイドポケットに
向かう可能性があります。
また、もし8番が厚い配置でもっとポケットに近かった場合は、手球にあまり強い押しをかけるとクッションから跳ね返ったあとに押しの回転で手球にブレーキがかかってしまう可能性もあります。さりとて押しが弱ければ右側の短クッションまで返ってきませんので、その場合は下図のようにポジションしたりすることが必要になります。
これは相当なハード・ショットになり、手球のコントロールが非常に難しいものです。
しかしワンクッションで無理な場合はこのように手球を回してくるしかありません。
最後に押し球で右フリにした場合です。
強く撞くことも無理な体勢も必要なく、手球を安全に右下のエリアに持ってくることができます。
もちろん下のサイドや右下コーナーに落ちる可能性はありますが、他の2つのコースよりコントロールしやすいのでその危険はかなり少なくなります。
力加減が強くないということは、撞点の差によるコースの変化が少ないということで、ひどい読み違いをしない限りスクラッチはないでしょう。
したがってこの配置では、手球を軽いフォローショットで前に出して、8番に適切な右フリを付けることになります。
なお、この例では他の邪魔になる的球が無いので自由に最善の方法が選べましたが、実際のゲームでは他の的球によってコースが限られてしまうことも多く、あえて難しいコースを選ばなければならない場合もあるでしょう。
上級者はまるで何も考えずに撞いているように見えるかも知れませんが、彼らは単純な配置なら一瞬見ただけで何をなすべきかを理解することができるのです。それはもう考えるというより体が勝手に動くといった感じです。
知識を書籍に頼るのも良い手段です。