こんにちは、スタッフ野田です。
不可能を可能にするショット第2弾です。
一見どうにもならないような配置を何とかしてしまおうというこのコーナー、第2弾の配置は以下のようなものです。
前回の不可能を可能にするショットをご覧になった方は、「前回と同じ配置じゃないか！」と思われたかもしれません。
しかし前回は1番が背後の9番にカブっていたのが1/4ほどでしたが、今回は1番とクッションとの隙間が球半分ほどしかありませんので、1番の後ろにある2番を手球でポケットすることができません。
さて、ではどうしたらよいでしょうか。
実は今回は2番ではなく1番の方をポケットします。後ろにある2番ではなく手前の1番がポケット出来るとは信じがたいように思われるかもしれませんが、このようにポケット近くの配置なら成功の確率は結構あります。
その方法ですが、下記の動画をご覧ください。
１番の正面に手球を当てているだけ？ その通りなのですが、実は手球に強いバックスピンをかけているのです。そのため１番に前進回転がかかり、2番がどいた後にポケット方向へ進んでいくというわけです。
これは手球と1番の間に働く摩擦によるもので、縦方向に作用する回転のスロウと言えます。
1番は手球が当たった瞬間、手球と2番に挟まれた形になるのですが、この時に摩擦が大きく働いてこのようなことが可能となります。2個の的球の間に隙間があると1番に前進回転がかかりにくくなりますので、密着しているかどうかがこのショットの成功率を左右します。
１番は手球から見て右方向に動かしますので、正面よりほんの少し左側に当てます。
的球のコースを正確にコントロールするのは至難の技なので、前回同様ポケットに近い場合しか成功は期待できません。
スローモーションをご覧いただければ、手球が当たった直後から1番が前進回転しているのが分かります。
その昔、まだ9ボールゲームでテキサスエキスプレスルール（この言葉はすでに死語でしょうか？）がなかった頃は、ファールでポケットした的球はすべてフットスポットにもどしていたので、ブレイクの後などにフットスポットに2個の的球が並ぶことがよくありました。
この時にフットスポット上の的球をこの方法で狙うことが可能でした。
ゴーキュー歴の長い人ならご存知だと思います。
クローズアップもご覧ください。
このように的球にはそこそこの前進回転が加わるので、多少ポケットが遠くても大丈夫なのですが、正確にポケットに向かわせるのは至難の業です。
別の例をご覧ください。
サイドポケットの前で2個の的球が並んでいますが、このまま1番に当てても何も入りません。
しかし引き球で1番の中心より少し右側に当ててやれば、1番は斜め左前方に走ってサイドポケットに入ります。この近さならちょっとコツをつかめば成功率はかなり高いです。
ところで、これを読んで「じゃあ、手球に強い押しをかけたら的球にバックスピンがかかるのでは？」と思った方がいらっしゃるかもしれません。しかし残念ながらそうはなりません。バックしようとする的球を前進する手球が押さえつけてしまうからです。
ただし、的球の後ろに２個以上の球がフローズンしていれば、それもある程度可能です。
手球を１番の正面やや右側に強い押しをかけて当てています。
的球が１・２番の２個だけでは、どんなに押し球で当てても１番は手前に戻りませんが、これに３番を加えると、１番に少しバックスピンがかかってポケットに向かいます。
スローモーションもご覧ください。
白い紙は1番と2番の接線方向を示しています。
やはり手球の衝突直後から1番にバックスピンがかかっているのが分かります。
手球をジャンプさせて1番が手前に戻るコースをなるべく妨害しないようにしているのですが完全に干渉しないようにすることは不可能で、急角度で的球を引き戻すことはできません。
使用する球数の少ないナインボールなどではこんな配置になることはまずないのですが、14-1をプレーされる方には役に立つかも。
このような一発逆転ショットもいいですが、やはりビリヤードは基本的練習が大事です。
