こんにちは、スタッフ野田です。
羅立文(ローリーウェン)プロによる14-1解説動画その17です。
例によって1球ずつ次に何をしたいかを説明しながら撞いてもらっています。
それでは早速動画をご覧いただきましょう。
今回はブレイクボールが2ポイントx1ポイントの位置にあり、手球が4ポイントx1ポイントという大変ブレイクがしやすい位置にあります。
手球がラック内の①の正面近くに当たることが予想され、押しをかけるとスクラッチの危険があるので引きをかけます。
今回は思い切り引いて、手球をヘッドクッションに跳ね返してテーブル中央に戻します。
ブレイク後の配置です。
手球は見事にテーブル中央付近にポジションしました。
実際に試してみていただけると分かりますが、このようなコントロールはかなり難しく、手球が
ヘッド側のクッション近くに止まって非常い遠いロングショットが残ってしまう可能性があります。
したがって思い切り引く場合はそのような危険を覚悟しておく必要があります。
さて、ブレイク後の配置を見ると、⑥が中央のクラスターを散らすことが出来る絶好の位置にあるので、まずはこれを狙います。
⑥で的球を散らした後の配置です。
2個の的球がくっついたクラスターが何か所もあります。
実はクラスターを割るタイミングは周囲にある的球を片付けてから行なうのが最良で、そうしないとこのように散らした的球が周囲の的球にくっついて新たなクラスターを発生させることになりかねないのです。
今回の場合、⑥で散らした的球は右手前側に動いていく可能性が高く、その方向には的球が④だけだったので、新たなクラスターを作る危険は少ないと判断したのですが、運悪く新たなクラスターが複数発生してしまいました。
そのため羅プロは暫く時間をとって対策を考える事になります。
ただ、⑬④のクラスターについては簡単なコンビの配置だと羅プロは考えています。
羅プロは長考の末、⑧から⑫⑮のクラスターを割りに行くために、⑪を入れて手球を⑧に対して45度ほどの角度になるところに持っていきました。
⑧にポジションしたところです。
逆ヒネリ(この場合右ヒネリ)をかけて⑧から⑫⑮を狙いに行きます。
もし⑫⑮に当たらなかった場合は⑬④コンビを狙えるという保険があります。
うまく⑫⑮を割ることに成功し、しかも⑫が左側にある⑩③のクラスターを割るのに丁度良い位置に動きました。
早速これを利用していきます。
⑩③クラスターを割ったところです。
⑬④はコンビで解消するのでこれでクラスター処理は終了し、ここからはブレイクボールへの道のりを探ります。
⑤が最良のブレイクボールですので、これを残して他の的球を片付けていきます。
現在確実に入れられるのは②か③なのですが、②は⑤に対するキーボールとなる可能性が濃厚なので温存しておきます。
まずは③を入れて⑦に厚めになるように出しにいきます。
その後は早めに⑬④コンビを決めていきたいところです。
③からの引きヒネリが効き過ぎて手球が②に当たってしまいました。
⑦が薄くなってしまったので、この位置から⑬④コンビを狙います。
距離があるので決して簡単なショットではありません。
コンビを入れましたが、⑬が手球にくっついて、次に狙えるのが球越しのショットとなる⑨しかありません。
このような時は確実に的球をポケットすることに集中し、次に狙うのはできるだけ無理なく出せる範囲の的球にします。
さて、トラブルの配置は全てクリアされたので、ブレイクボールとして想定した⑤への取り方を考えます。
このとき逆順に考える方法が有効です。つまり⑤の前は? その前は?・・・といった順に考えるということです。
⑤にポジションするのに都合の良いキーボールは②であり、②にポジションするのに都合の良いキーキーボールは①ですので①に厚く出すことが出来ればあとはほぼストップショットで取りきれます。なので⑤②①の3個を最後に残します。
まず⑦を取り、次に⑮から引いて短長の2クッションで⑬にポジションします。
⑬にポジションしたところです。
⑬は少し右フリなので、⑩に対してダイレクトにポジションします。
次は⑩から短クッションに1クッション入れて①に厚く出す予定です。
⑩から①へ出す距離がそこそこあるので、⑩へは薄めに出しておきます。
⑩に十分な左フリがついたポジションが出来ました。
短クッションからワンクッションで①にポジションできますが手球を大きく動かす必要があり、そのためちょっとした撞点の違いで手球の最終到達地点が大きく違ってくるので注意が必要です。
もし⑩へのフリが少ししかつけられなかった場合は①を遠いヘッド側のコーナーに取ることになったでしょう。
①へ厚く出すことに成功しました。
しかし距離のあるショットですので、慎重に撞く必要があります。
なお、このような遠い配置になったのはミスではなく意図的なものです。
①を厚く取るためのポジション範囲は①の近くでは狭く、遠くなるほど広くなっていきます。
つまり手球を①の近くに寄せるほど厚い配置にすることが難しくなる(力加減の許容範囲が少なくなる)のです。
そのため安全を考えて、敢えて的球から遠いところにポジションしたわけです。
①をストップで取りました。
②は簡単に入る配置ですが、僅かに右フリとなったので⑤へのポジションを考えて調整を行ないます。
羅プロはゆっくり撞いて⑤を少し薄めにする配置を選びました。
この配置が羅プロの好みなのでこうしたわけですが、②から少し引いて手球が遠くなってもブレイクボールへの厚みを薄くしないことを選ぶ人もいるかもしれません。
これはどちらが良い・悪いということではなく、個々のプレーヤーの最も得意な配置を選べば問題ありません。
今回は⑬④コンビを入れた後に手球が⑬とくっついてしまったことが原因でその後の取り切り計画が狂ってしまいました。それがなければ次に狙うのが⑨ではなく⑦や⑮になった可能性があります。
ほんの少しの手球の動きの違いがゲームの行方に大きな影響を与えるというビリヤードのデリケートさが垣間見えたラックでした。
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