こんにちは、スタッフ野田です。
一見どうしようもない配置から一発で脱出する必殺技の数々をご紹介する「不可能を可能にするショット」の第14弾です。
今回のお題は狙う的球が穴前にあるのに、ポケットするための厚みが無いという配置です。
文章だけではどんなものか分からないと思いますので、配置図をご覧ください。

ゲームはエイトボールで、あなたはローボールを選んでおり、残るローボールは①だけとなっています。一方で相手側のハイボールも残りは⑮の1個だけという状況です。
ゲームを決める⑧はテーブル反対側の穴前にあり、お互いに最後の1個となった自分側のグループボールをポケットしたら勝ちとなる状況です。
ご覧の通り①はコーナーポケットのごく近くにあるのですが、すぐ横に⑮があるため、①をポケットする厚みに手球を当てることができません。手球が先に⑮に当たればもちろんファウルです。
ポケットすることはあきらめて手球を①に当てて動かしたうえで、⑮をポケットすることが難しい配置にすることは可能なのですが、⑮を①の後ろに隠すことは大変難しく、おそらく⑮は丸見えになってしまうでしょう。そうなると相手のファウルは期待できませんし、⑮に好きな厚みで当てることができるなら相手が⑮を何とかしてしまうかもしれません。
何かいい方法はないでしょうか。

残念ながら高確率で①をポケットするという方法はないのですが、⑮をポケットすることが難しい配置を作りながら、上手くいけば①をポケット出来るという方法があります。
では動画をご覧ください。

一瞬の動きなのでなぜ①がポケットしたか分かりにくいですね。
スロー動画をご覧ください。

手球を①に当てて、動いた①に再度手球を当ててポケットするという出会い球(タイムショット)です。この例では①と⑮の間に隙間がありますが、これが密着していても可能です。

スロー動画もご覧ください。


ショットはゆっくりで、逆ヒネリ(この配置例の場合は左ヒネリ)を強めにかけておきます。そうすることにより、ポケット出来る可能性を高めると同時に、失敗した時でも高確率で相手が⑮を狙うことが困難な配置を作り出すことができます。
ポケットに失敗した場合にどうなるか、いくつかの例をご覧ください。 ↓

ご覧の通り強く撞かなければ大抵は①が穴前に残り、⑮がやすやすとポケットされることを防いでいます。
①が穴前に残ったまま手球が⑮の陰に隠れて①が見えなくなることがあるので、ナインボールなどのローテーション系ゲームでこんな配置が来てどうしても攻めたいとき、アンドセーフも期待してこれを狙っていくという使い方もできます。(多くの場合、①は丸見えになりますが)
どれくらいの厚みで狙うかは、手球が的球に向かう角度によって変わってくるので色々試してもらうしかないのですが、いずれにしても大変シビアなタイミングが要求されるので①がポケット出来る可能性はあまり高くなく、この例のようにポケットのごく近くでなければとても成功は望めません。むしろ、セーフティが主体で運が良ければポケット出来るぐらいに考えた方が良いショットです。しかし少ないながらも①をポケット出来る可能性があり、ダメでも相手に難しい配置を残すことができるこの方法はかなり有効だと思います。
ただ、難しい配置になっても相手がそれを何とかしてしまう可能性があることは心に留めておきましょう。①をポケットするのが困難な配置にされてしまうかもしれません。実は残った配置によっては相手にセーフティの手段が残る可能性もあるのです。
最善の方法を取っても負けてしまうことがあるのはビリヤードに限らず多くのスポーツやゲームでも仕方のないことなのです。ただ、少しでも勝つ確率を上げるためのヒントの一つとして、この方法を参考にしてみてはいかがでしょうか。

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