ブレイクボールはコーナーポケット穴前にあり、絶対にブレイクボールを外すことのない配置です。
ですので、意識を100%手球のコントロールに集中することができます。
フット側のコーナーポケットは最も的球をポケットするために使用する頻度が高いため、そこの穴前にある的球を残したままラックを取り切ろうとすることはまずありません。
しかしラック終盤になってポケットミスした的球が穴前に残ったりして、このようなブレイクになってしまうということがたまにあります。
ブレイクボールをポケットすることが簡単なため強く撞いてしまいがちな配置ですが、手球がポケットの角に当たらないようにしてワンクッションでラックの望む位置に当てることは思いのほか難しいです。
この配置を今回と次回の2回に分けて、2通りのブレイクのしかたを羅プロに紹介してもらいます。
今回はパワーを重視してラックをできるだけ強く割って次に狙う的球ができる可能性を高くするというブレイクをご紹介します。
ブレイク後の配置です。
手球はラック底辺の角の的球のほぼ正面に当たりました。
そのために手球はラックに当たった後にあまり動きませんでした。
手球の動きがどうなるかは全く予測できませんので、ほとんど運任せとなります。
その代わりラックはバラバラになりますので、狙える的球が複数できる可能性は高いです。
今回は手球はラック近くで的球にくっつくこともなく撞きやすい位置にあるので、どちらかと言えばラッキーな配置だと言えるでしょう。
まずは⑨をサイドに入れて、次に左下にある⑮を狙います。
⑨を入れて手球は⑮を狙う位置に止まりました。
すでに的球はバラバラの状態なので、羅プロは⑩をブレイクボールと想定して取り切りを進めます。
現状では複数の的球が密着したクラスターはないのですが、下手に的球を動かしてしまうとクラスターを新たに作り出してしまう危険があります。そのためできるだけ余計な的球を動かさないようにしていかなければならないという難しさがあります。
⑮はほぼ真っすぐで、ストップショットをして次に④を狙います。
⑮を入れたところです。
次に④を入れながら、手球をワンクッションで中央の少し右寄りにある近接した②⑤⑦に当てにいきます。
散らした的球が他の的球にくっついてしまう可能性があることは覚悟の上なのですが、この3個をそのままにして取り切りすることはできないので、致し方ありません。
左下に保険球となる⑫があることも、今この3個をバラす動機となっています。
結果として動かした②が③にくっついて新たなクラスターとなってしまいました。
手球が思いのほか大きく動いて保険にしていた⑫は見えませんが、⑪と⑦が入れやすい位置にあります。
幸い⑪を入れてワンクッションで②③を散らすことができそうです。
逆ヒネリ(この場合、右ヒネリ)で手球のコース調整が必要なのですが、②③のどこに当たっても次に⑫か⑦が狙えるでしょう。
②③のブレイクに成功しました。
これでもう散らすべき的球の塊はなくなり、ほぼすべての的球が直接ポケットに通っている状態に
なりました。この状態は「オープンテーブル」と呼ばれます。
手球はフットスポット近くに止まり、狙える的球が5個くらいあります。
当初の予定通り、⑩をブレイクボールと想定して取り切っていきます。
まずはサイドにまっすぐな⑭をストップで取り、そして⑦を狙います。
⑭を入れたところです。
次に⑦を取るのですが、この⑦は⑤が右下ポケットに向かうコースを妨害しています。
このようなボールをブロックボールと呼び、「⑦は⑤のブロックボールである」などと言います。
当然ブロックボールはなるべく早く処理(ポケットするか動かす)する必要があり、時にはクラスターを散らすよりブロックボールを処理する方を優先する場合もあります。
⑦を入れてワンクッションで⑤にポジションしました。
⑤の次は⑫です。
この⑦→⑤→⑫の流れは、⑭を入れる際にすでに計画されていたものです。
最低3個先までの的球の取り方を考えておくことはナインボールやテンボールでも大変重要なのですが、14-1でもそれは変わりません。
ただ、14-1では次に狙う的球が複数あって、ポジションによって最適な方を選ぶということがあります。つまりショットによって変化した状況に応じて、的球を取る順番を変えていくということが頻繁にあるわけです。
⑤から⑫へポジションしたところです。
⑫から先も取り方がいくつか考えられますが、的球の数が少なくなるとポジションに失敗した際にリカバリーが難しくなる可能性が高まるので一層の注意が必要です。
羅プロは⑫から手球をテーブル中央付近に動かして③へのポジションをとります。
⑫からテーブル中央付近にポジションしました。
③が真っすぐな配置となっています。
⑩がブレイクボール、⑧がキーボールなのは変わりません。
⑧にポジションするためには、①を右のサイドポケットに対してまっすぐか左フリにするのが最良で、そのためには⑥に厚く出してから少し引いてポジションするのがよさそうです。
なので、この時点で羅プロは③のあと、②から⑥に厚く出そうと考えていたようです。
②にポジションしたのですが、フリがなくなってしまい、引いたら手球が⑥にぶつかってしまいそうな配置になってしまいました。③をストップショットで取ったのでは②に対して薄すぎるので手球を少し前に出したのですが、ちょっと出し足りませんでした。
距離のある真っすぐの配置で、手球を必要な距離だけ前に出したり後ろに引くということはプロでもなかなか難しいものです。
フリがあれば直引きかワンクッションあるいはヘッド側へ回して⑥にポジションできたでしょう。
また、③をストップ、②をスローショットで入れて、⑥をヘッド側のコーナーに入れにいくという人もいらっしゃるかもしれません。
さて、フリがないこの状況でどうしたらよいでしょうか?
一か八か直引きして手球を⑥に当ててしまうという手もなくはない(①が保険球となります)のですが、羅プロは①から引いて⑥にポジションしにいきます。
①は遠くて微妙なフリが付いており、ちょっといやな配置です。
ナインボーラーならこんな配置は普通だと思うかもしれませんが、14-1では近距離で厚めの球を狙うことが多いために、たまにこのようなロングショットを強いられると精神的なプレッシャーが大きくかかるのです。これは14-1やボウラードをプレーした人でなければ分からない感覚でしょう。
100%入るであろう②を避けて、プレッシャーのかかる①を入れにいくのは勇気がいると思います。
それでも羅プロはこの気持ち悪い①を入れる自信があるからこそ、この取り方を選んだのでしょう。
見事に①を入れて⑥に厚めに出しました。
この後はもちろん、⑥→②→⑧となるのですが、②から⑧へ厚く出すのにはひと工夫必要です。
②を右手前コーナーに入れるのは間違いないですが、わずかなフリの違いで、どのように⑧にポジションするかが変わってきます。
⑥を入れて②にポジションしました。
羅プロは②に左フリをつけようとしたようですが、またしてもフリなしの真っすぐになってしまいました。
配置を見た瞬間、羅プロは直引きしかないと感じたのでしょう、ノータイムで構えに入って、手前にワンクッションさせて⑧に出しにいきます。
見事な力加減で、⑧に厚く出すことができました。
実はこのように引きの力加減で次の的球へのフリを調整することはかなり難しいです。
有効なポジション範囲をグレーで示しましたが、②からの手球のコースはこの範囲を横切るために力加減が難しいことがお判りいただけると思います。
しかし他に良い方法がなかったので致し方なくこの方法を選ばざるを得ませんでした。
⑧は左フリになっているので、ワンクッションで⑩に対して右フリにします。
⑩はラックから遠く離れているので、薄めにポジションして手球がラックに強く当たるようにします。
⑩はラックから遠く離れているので、薄めにポジションして手球がラックに強く当たるようにします。
今回は最初に強くラックを割ってクラスターのない状態で始まったのですが、たとえセカンダリーブレイクが必要なくても、ブロックボールがないということはまずありません。
最初のブレイクで的球がうまく散ると一安心するものですが、14-1ではテーブル全体に的球が散ることはほとんどなく、ラック範囲周辺に多くの的球が集中します。
そのような状態で新たなクラスターを作らないようにしながら取り切ることはなかなか難しく、ラックがバラバラになっていても油断はできないのです。
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