リチャード・ブラック
テキサスの大御所、リチャード・ブラックのキューです。
趣味のキュー製作が高じて本業の株取引の仕事を捨ててキューメーカーになったという経歴があります。
木工や旋盤の技術をもともと持っていたからキューメーカーになったという人が多い反面、このように全く畑違いの仕事からキューメーカーになる人も少なからず存在します。
彼は独学でキュー製作をマスターし、その際にバラブシュカを参考にしたためにその影響を強く受けています。ジョイントやシャフトのテーパーなどからそれが良く分かります。
フォアアームです。
ゼブラウッドのストレートです。タッドのゼブラウッド・ストレートに全体の感じがそっくりですが、ジョイントカラーの下に入ったリングデザインは独特のものです。
バットスリーブです。
手書き(手彫り)でネームがリングに入っています。
ごく初期のキューにはまったくネーム類が入っていなかったためにバラブシュカと間違われるという事が起こったようです。
1980年以降はすべてのキューのフォアアームに手書きサインが入っています。
私はリング上にサインが入っているのを見るのは初めてです。これは相当にレアだと思います。
バットスリーブのベニヤ入りリングワークもリチャード・ブラックとしては珍しいですね。
リネン巻きの下が、デルリンのリング、バットスリーブ、ベニヤ付リング、デルリンバットキャップという構成になっているところもタッドのような感じを受けます。
ジョイントはもちろん14山のパイロテッドです。
ステンレスのジョイントカラーと相まって、これだけ見たらバラブシュカやザンボッティと見誤るのも無理はありません。ただし、リチャード・ブラックはすべてのキューが14山というわけではなく、10山なども存在します。