KERSENBROCK
カーセンブロックです。
カーセンブロックといえば一種独特の凝ったインレイを施したキューを作ることで有名ですが、初期のころはこのようなオーソドックスなキューも多かったようです。
サウスウエストキューの創設者ジェリー・フランクリンにキュー製作を教えたことでも良く知られており、このキューを見るとサウスウエストがカーセンブロックから受けた影響がいかに大きいかが分かります。
フォアアームです。
メイプルに黒檀の親子6剣のオーソドックスなデザインです。
ベニヤもインレイもないこのようなシンプルなキューはカーセンブロックかサウスウエストかの判別が難しいのです。
バットスリーブです。
メイプルと黒檀の組み合わせです。
リングワークもサウスウエストと同様のデザイン(といっても、こちらが先ですが)です。
リフィニッシュされているとのことで、とてもきれいな状態です。
ジョイントとシャフトです。
真鍮製のジョイントピンもサウスウエストに影響を与えた部分です。
先角が黄色いですが、これはミカルタ(マイカルタ)と呼ばれる材質で、アメリカのウエスティングハウス社が開発してこの名称で登録商標としました。
丈夫で加工しやすいのでいろいろな工業用途に供され、絶縁材としても使われました。
カーセンブロックやサウスウエストの他にも多くの古参キューメーカーが先角やジョイントカラーなどに使っていました。スタッフ野田には古いシュレーガーキューによく使われていたという印象があります。
もともと黄色いのですが、経年で色が濃くなるようです。
しかし削り粉が有害だった(ココボロもそうですね)ようで、90年代になるとほとんど使われなくなりました。
それでも、今でもたまにこの黄色い先角のキューにお目にかかることがあり、目の肥えたオールドファンの郷愁を誘います。