DP CUSTOM CUES
フロリダ州のキューメーカー、デール・ペリーのキューです。
「デール・ペリー」と製作者の名前で呼ばれることが多いですが、キューメーカーとしての正式な名称は「ディーピーカスタムキュー」です。まあ、製作者自身さえどちらでもよいと思っているので、たいして気にする必要はありませんが。
デールは高品質なカスタムキューをなるべく安価で提供したいというポリシーでキュー製作を続けており、単価を抑えるためにあまり高価な材料を使うことはなく、同じデザインのアレンジをしたキューも多いです。
日本では過去にDPキューが高価なプレミアムカスタムキューと同列で販売されていたことがあり、アメリカでは実際にはそれほど高くないことが知られると安物(=低品質)だという噂が流布したことがありましたが、決して粗悪なキューなどではなく品質は確かなものです。
スタッフ野田はDPキューが好きで、デールとはもう20年以上の付き合いになります。
このキューはスタッフ野田のコレクションの1本で、他に同じものがないワン・オブ・ア・カインドなのですが、それ以外にもこのキューには特別な思い入れがあります。
それについては後ほど。
フォアアームです。
パープルハートのベースに黒檀の浮きハギが7本入っています。DPキューの代表的なデザインの1つである上下14剣のデザインです。
各ハギの中にはマイカルタ(ミカルタ)とアンボイナ・バールでインレイが入れられています。
フォアアームのクローズアップです。
リングが黒檀のインレイで構成されています。
パープルハートの杢目が連続していることからリングワークではなく黒檀のインレイであることがお分かりになると思います。
バットスリーブです。
フォアアームと同じ材質、同じデザインです。
バットキャップにお馴染みのDPロゴがあります。
ちょっと光の反射で見づらいですが、「D」が逆向きになっています。
これは単純にDとPを並べただけでは商標として面白くないからということでこうしたそうです。
ごく初期の頃から一貫してこのロゴマークを使い続けています。
ジョイントです。
純正のフラットフェイス・ラジアルピンです。
真鍮のピンが使われていますが、ステンレスや表面に特殊なコーティングをしたピンを使用しているものもあります。
DPキューはユニロックジョイントをいち早く採用したことで知られていますが、近年はラジアルピンの方が多いですね。そちらを好む人が多いからなのでしょう。
フォアアームのサインです。
1本ものであることを示す、「D.Perry 1/1」の表記がされています。
もちろん通常のキューにはこのような手書きサインはありません。
さて、私がこのキューに思い入れがある理由はこれです。
これはDPキューのウェブサイトの1ページで、デールの個人コレクションの紹介をしている中の1本がこのキューです。
ご覧の通りこのキューは「In Honor of Mr. Noda」と名付けられています。
つまり私に対して敬意を表して作ったキューということで、私が注文したのではなく彼が自発的に作ったキューなのです。
私がデールから多くの14剣キューを買ったのがその理由であると書いてありますが、実際他のキューメーカーにはほとんど見られない7本ハギが上下に入ったデザインのユニークさにひかれて色々な材料で14剣キューを作ってもらいました。
私はこのページを見つけてすぐに「このキューを買う!」とデールに連絡して、ビリヤードエキスポで手渡してもらいました。
エキスポでこのキューを受け取った際の写真です。
キューメーカーが自発的に特定の顧客のためにキューを作るということが何を意味するかは推して知るべしでしょう。メーカーに特注で作ってもらったキューというのはもちろん思い入れがあるものですが、このキューについてはそれを超えた感動のようなものがあります。
新年を迎えるにあたってキューも一新してみませんか。
あなたの思い出のキューになるかもしれません。