SILVER FOX
ちょっと毛色の変わったキュー、シルバーフォックスです。
ビリヤード歴の長い方なら、キューではなくキューケースのメーカーとしてその名を聞いたことがあるかもしれません。
20年以上前になりますが、軽くて大容量、しかも安価なケースを製作・販売していて、スタッフ野田も愛用していました。
シルバーフォックス製のケースです。
バット4本・シャフト8本収納のケースで、ケースのポーチに革製の銀狐のロゴマークが縫い付けられていました。
ポーチがたくさんついていて大変機能的だったのですが丈夫さに難点があり、キューを4本収納するにはちょっとスペース不足で丁寧に扱わないと破れたり縫製が緩んだりしました。
ロゴマークです。
もともとシルバーフォックスは安価なキューのラインナップを販売していたのですが、キューはほとんど日本では売れなかったようです。
このキューはスタッフ野田のコレクションの1本で、他のキューにはない飛びぬけた特徴があるのですが、それについてはのちほど。
フォアアームです。
ハギやインレイ、リングワークさえないストレートのキューで、材質はいわゆる張り合わせの木(コンポジットウッド)です。
シルバーフォックスは多くのキューをこの張り合わせ素材で作っていました。
Mezzのパワーブレイクシリーズと同じような素材ですね。
そして実はこのキューもブレイクキューなのです。
バットスリーブです。
フォアアームと同じ素材で作られています。
黒い樹脂製のバットキャップにただ1つの飾りと言えるシルバー(なんと純銀製です。シルバーフォックスだけにということでしょうか。)のドットインレイが入っています。
このインレイは限られたシリーズのキューにしか入れられていませんでした。
シャフトです。このキューの一番の特徴はこれです。
バットは何の変哲もないものですが、シャフトは何と驚きのチタニウム製です。
根元のジョイント部分は木製で、そこにチタニウムのパイプをつないだ構造となっています。
当然ながら木とは比べ物にならないほどの剛性をもっています。
つまり、まったくといっていいほど「しならない」シャフトなのです。
物理的な運動エネルギーの伝達を考えれば理想的なシャフトだというわけです。
チタニウムは鉄よりは軽量ですが木に比べればかなり重く、しかも根元だけでなくシャフト全体が重いので、このキューは超前バランスになっています。
ブレイクキューのバランスがどこが良いかは使う人のブレイクスタイルによりますが、キュー出しが極度に大きくなるブレイクショットでは前バランスを好む人が多いのではないかと思います。
私もそう思ってこのキューを入手したのですが、シャフトが重いためにバット側もバランスをとるため重めに作られており、私の力では十分なキュースピードが出せませんでした。
力自慢の体育会系の人なら強力な武器として使いこなせるかもしれません。
ジョイントです。
ごく一般的な10山のフラットフェイスジョイントです。
木口(木の切断面)を保護するためにバット・シャフト側共に黒い樹脂のカラーがついていますが、飾りとなるような細工は一切ありません。
これはおそらくチタニウムでシャフトを作るために相当なコストがかかるので、他のコストを少しでも抑えようとしたためだと思われます。
このキューが発売されたのは20年以上前ですが、当時はブレイクキューとしては大変高価で、重すぎることもあって短期間のうちに市場から消えていきました。
キューショップジャパンではブレイクキューも数多く取り揃えております。