TAD'S CUSTOM CUES
タッドです。
かなり古い時代のもので、細かい傷や変色などがありますが、大きなダメージはありません。
グリップは白地に緑斑の糸巻だったと思われますが、グリップ全長に渡って元の色が分からないくらい変色しています。
持ち主の方はよほどこのキューの使い心地が気に入っていたのでしょう。
おそらく感触が変わることを嫌って、糸巻を交換することをしなかったものと思います。
キューメーカーにとって、自分の作ったキューを買ってもらうことはもちろん嬉しいことなのですが、それより嬉しいのは買った人がそのキューを使い続けてくれることなのです。
フォアアームです。
ステインの入ったカーリーメイプルに黒檀の親子8剣デザインです。
親ハギの先端にはクローバーリーフ、子ハギの先端にはドットのインレイが施されています。
親ハギにはマザーオブパールのノッチドダイヤが入っています。
タッドを代表するデザインの1つです。
縁取りベニヤの無い素ハギですが、タッドキューとしての存在感は充分です。
バットスリーブです。
連続した六角形のウインドウの中にオーバルが入り、その中心にマザーオブパールのノッチドダイヤインレイがあります。
これもタッドの代表的なデザインで、フォアアームとよく調和していると思います。
異様に長いバットキャップもこのキューの魅力の1つですね。
ちなみにマンガワンで掲載されているビリヤード漫画「ミドリノバショ」で主人公の蒼井 翠(アオイ ミドリ)が使用しているキューがこのタッドにそっくりです。
このキューにはバットキャップにTADのロゴマークがありませんが、ロゴが入るようになるのは1978年以降で、その後に製作されたキューでも入っていないものがあるようです。
また、かなりレアですが、バットキャップではなく飾りリングにTADの文字が入っているものもあります。
ジョイントです。
タッド定番の5/16-18山のパイロテッドジョイントです。
古いタッドによく用いられるジョイントピンがちょっと短い「ショートピン」です。
ステンレスのジョイントカラーに歴戦の擦れた跡が見られ、グリップの糸巻同様、持ち主の方がこのキューを長く愛用されていることを示しています。
長期間にわたって大事に使われてきたこのキューは、アメリカのキューコレクターのショーで展示されたことがあり、そこを訪れた製作者であるタッド・コハラ氏(今はもう故人ですが)に大変喜ばれたそうです。
キューショップジャパンにも長い戦いを生き抜いてきたと思われるキューが何本もあります。