カスタムキューの中でも人気の高いジナキューです。
名匠アーニー・ギュテラスの手による傑作キューとして、その評価は不動のものとなっており、世界中にファンがいます。
かく申すスタッフ野田もその一人で、アーニーとの付き合いはもう25年以上になります。
ジナキューの人気の要因はその卓越したデザインもさることながら、妥協のない品質にあると思います。
ジナキューの工房には何十年間も寝かされているシャフト材があり、少し削っては寝かせてを繰り返しています。ジナキューはシャフト2本が標準装備となっており、同じ重さのシャフトをペアにして寝かせているのですが、削る過程で不良が出たシャフトを廃棄し、別の同じ重さのシャフトと組み合わせるということを繰り返しています。最終的に製品化されたシャフトの陰には何本もの廃棄されたシャフト材があるのです。
バットも同様で、各種の銘木を一度に何十本という単位で取り寄せて削りながら不具合が出たものを除外していくのですが、完成品までたどり着くのは全体の1割にも満たないそうです。
彼の自宅には暖炉があるのですが、その横にはそうして除外された銘木が山と積まれています。今回ご紹介するキューに使用されているピンクアイボリーなどは良く燃えるので格好の薪になるそうです。なんとも贅沢な暖炉ですね。
フォアアームです。
このキューは16aと呼ばれるデザインをもとにして、ピンクアイボリーをベースにしてスネークウッドをアレンジして製作した特注品です。このデザインはジナキューの中でも人気のあるものの1つで、他のキューメーカーがこれを参考にして似たようなデザインのキューを作ったりしています。
フォアアームのクローズアップです。
縁取りベニヤが黒・赤・オレンジ・黄・黒の5枚構成になっているのがわかります。スネークウッドの先端にも同じ構成のベニヤが入っています。
バットスリーブです。
フォアアームと同じデザインが施されています。
純銀と白素材が交互に入ったリングワークがシャフトを含めて5か所に入っています。
ジナキューのリングワーク材です。工房でアーニーにもらったものです。
筒状の物を輪切りにしてこのような形にして使用します。
純銀と白素材が交互に入っている様子がよく分かります。純銀は空気に触れるとこの写真のように黒くくすんでしまいますので、しっかり表面を塗装で保護する必要があります。
ピンクアイボリーを暖炉の薪にする話を前述しましたが、ピンクアイボリーのような薄い色の銘木は節や変色部分などがあると大変目立ち、奇麗な部分を広範囲に確保することが難しいために不良材として除外されてしまう可能性が高い材料なのです。暖炉の横にピンクアイボリーがたくさん積んである理由はここにあります。
スタッフ野田はピンクアイボリーが好きで色々なキューメーカーにピンクアイボリーのキューを作ってもらいましたが、ジナキューはいつでも大変明るいピンク色の材料を使ってキューを作っています。これも材料を厳選しているゆえなのです。アーニーの自宅でどれだけの銘木が灰と消えていったか想像もつきません。
値段は高いですが、それにはちゃんとした理由があるのです。
ジョイントです。ファーストエディションから一貫して使用されている18山パイロテッドです。
オプションのマッチングリングとロゴマークがついたジョイントプロテクター付きです。
フォアアームの手書きサインです。
初期のジナキューにはありませんでしたが、20年ほど前からこれが入るようになりました。
当社に2020年製の新品ジナキューが入荷しました。
製作者アーニー・ギュテレスは高齢(1941年生まれです)のため新規製作本数は激減しており、今後新品のジナキューの入手が難しくなることは必至です。
是非ご検討ください。