お客様にご投稿いただいたサムサラ・キューです。
サムサラは他のメーカーとは一線を画す独自の製作ポリシーとデザインで一時期一世を風靡した感がありました。スタッフ野田もサムサラが好きで、何本も手にしたことがあります。細身で良く切れるキューだった覚えがあり、日本にもファンがたくさんいました。
サムサラは1991年から東海岸北部のニューハンプシャー州で製作されていましたが、2000年頃にアメリカ中央北部のカナダに隣接するノースダコタ州に工房を移転しています。
今回ご紹介するキューは、サムサラを代表するデザインNo.1と言っても良い「スパイダーウェブ・キュー」です。その名の通り、蜘蛛の巣をモチーフにしたデザインで、発表されたときは大きな話題となりました。

これは古いサムサラの名刺です。
アドレスがニューハンプシャー州のナシュアになっています。
この名刺に写っている右端のキューが、初期の(おそらく最初に製作した)スパイダー・ウェブ・キューです。メイプルとローズウッド系と思われる銘木で製作されていることが分かります。

これは1997年のスーパービリヤードエキスポに出展したサムサラキューのブースをスタッフ野田が訪れた際に撮影したものです。
左側がキュー製作を担当するデイブ・ドーセット、右側のスーツ姿が販売を担当するジム・スタダムです。少量生産のカスタムキューメーカーで製作と販売を夫婦や家族で分担する例は良くありますが、血縁者でもない二人で運営することは珍しいですね。
バックに掲げられたバナーにニューハンプシャー州のアドレスが見えます。
実は初日にこのブースを訪れた際に、上記のスパイダー・ウェブ・キューがあったのですが、それなりのお値段だったので迷っている間に売れてしまい、悔しくて地団駄踏んだ記憶があります。皆さんもビビッと来たキューは迷わずゲットしましょう。

フォアアームです。
黒檀に白素材のハギが長短4本ずつの親子8剣ハギデザインです。
スパイダー・ウェブ・キューには、バットスリーブだけスパイダーデザインで、フォアアームは普通のハギが入っているものが多いのですが、このようにハギにもスパイダーウェブのデザインが施されたものは大変少ないのです。
その中でもこのようなハギになっているものは、スタッフ野田も見たことがなく、もしかすると世界でもこれ1本だけかもしれません。

フォアアームのクローズアップです。
ハギの中に施されたスパイダー・ウェブのデザインがよくわかります。
名刺に写っているスパイダーキューは、ハギの中に直線のラインがインレイで入っていますが、このキューは曲線のラインが入れられています。
また、サムサラキューの大きな特徴の1つであるジグザグ模様のリングがよく分かります。これはいわゆる輪切りのリングワークではなく、かといって菱形のインレイを1個ずつ入れているわけでもありません。
スタッフ野田はいったいどうやってこのリングを作っているのかデイブに聞いてみたことがあるのですが、キューの外周から中心に向かってV字型の溝を切る特殊な工具を自作して作っているそうです。
このキューの場合、ジグザグリング部分は黒・白・黒・白・黒・白・黒の7層になっており、V字型の溝を切る作業が12回必要になります。そしてその上下をさらに黒・白のリングで挟んだ合計11層で構成されたものになっています。もちろんリングにこれほどの手間をかけてもキューの性能には何も関係が無いのですが、これはもうキューメーカーの意地のようなものです。どのキューメーカーも他のメーカーにはできないデザインや技術を求めて差別化を図るべく努力を続けているのです。

バットスリーブです。
スパイダーウェブ・デザインと呼ばれる所以は、この写真を見れば説明の必要はないでしょう。曲率の大きいキューの表面に歪んで見えないようにこんなインレイを入れるのは大変な作業です。
中央にはサムサラのロゴマークがインレイされています。

キュー尻です。
サムサラのロゴマークが入ったバンパー(尻ゴム)が付けられています。
サムサラはバットキャップにロゴマークが付いているものが多く、初期の頃は無地のバンパーが付いていました。少数生産のカスタムキューメーカーでこのような専用のバンパーを備えるキューは案外少なく、同じバンパーを共用しているキューメーカーの方が多いのです。

サムサラのバンパーです。
これはスタッフ野田の所蔵品で、なぜこんなものを持っているかと言えば、バンパーは床にこすれて薄くなったりロゴ表記がかすれてしまったりするので、キューを注文する際に可能な限りスペアのバンパーをもらうようにしているからです。

ジョイントです。
ユニロックジョイントが付いています。
初期のサムサラは18山でしたが、その後ユニロックとなり、さらにその後ラジアルピンも採用されました。
ジョイントキャップが独特の形をしており、これを見るだけでサムサラだと分かります。
基本的にサムサラはキューに使用されている銘木などの素材とマッチングしたジョイントキャップが付属しています。

最近は新作のサムサラキューを見ないので、何かの事情で製作が中止もしくは製作本数が激減しているのかもしれません。
高級カスタムキューはごく少数(大抵は一人)の職人によって製作されていることがほとんどで、怪我や病気などで突然製作が滞るということがままあります。お気に入りの物を入手するチャンスがあったら逃さないようにしましょう。

あなたのキューをMy Favorite Cueに掲載しませんか?

「My Favorite Cues」ページでは、皆様のお気に入りキューを紹介するページです。

自慢のマイキューをこちらのページに掲載ご希望の方は、キューショップジャパンLINEで直接写真を添付送信ください。キューショップLINEはこちら
必要な写真は以下の4点となっております。

①全体 ②フォアアーム ③バットスリーブ ④ジョイント

※写真角度などは紹介されているキューをご参照ください。
※お客様のこだわりや自慢のエピソードなどもございましたら、是非メッセージご記入をお願い致します。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事