カリフォルニアのキューメーカー、ジェリー・マクォーターのキューです。
奥さんはWPBAのジャン・マクォーターで、彼自身も地元では名の知られた凄腕のプレーヤーです。
初期の頃のマクォーターキューはサウスウエストのような普通のハギを入れた伝統的なデザインのキューでしたが、次第にインレイハギを多用した独自のデザインのキューを作るようになりました。
そして革新的デザインのキューを作るメーカーであり、彼の親しい友人でもあったトーマス・ウェインからCNC旋盤の手ほどきを受けて、マクォーターらしさが光る数々のデザインを発表して現在に至ります。
フォアアームです。
黒檀にメイプルと白素材による複合ポイントで、Ptolemy(プトレマイオス 古代ローマの高名な学者の名です)という名称の付いたデザインです。
ただ、通常のPtolemyではなく、ご覧のとおり白素材が多数のピースで形成されています。これはクラッシュ・アイボリーと呼ばれており、このマイフェイバリットキューの#031でご紹介しているベンダー・キューでも同様なデザインが使われています。
バットスリーブです。
フォアアームと同じデザインです。
バットキャップが黒樹脂なので、黒檀のバットスリーブとの境目がはっきり分かりませんが、ロゴとシリアルナンバーが確認できます。
バンパー(尻ゴム)はマクォーター専用の物が使用されています。
ジョイント部分です。
ジョイントキャップを装着した状態で、ジョイントキャップとジョイントカラー双方にマクォーターの特徴の1つである細い二重のシルバーリングが入っているのが分かります。
10山のフラットフェイスジョイントなのですが、ジョイントピンも自前で製作しているため、一般的な10山のネジ山とは少し形状が異なっています。
さて、#105のマクォーターキューの記事の中で、ジェリーがミュージシャンだということをお知らせしましたが、スタッフ野田のコレクションに彼が製作にかかわったCDがありますので、ご紹介します。
「THE OTHER SIDE」という、CDです。CDのデザインがナインボールになっていますね。
私がジェリーから譲ってもらったもので、彼を含むビリヤードに関わる何人かの人たちが集まって歌と演奏をしているものを収録したCDです。
これは雑誌に掲載されたこのCDの広告記事です。
スーパービリヤードエキスポのマクォーターキューのブースで販売している旨の記載があります。
パッケージの右下をクローズアップした画像です。
ドーン・ホプキンス、マイク・マッセイ、タイトラックを作っていたサルド一家とともにジェリー・マクォーターの名前があります。ジェリーの歌は4曲収録されています。
最下部に、このCDジャケットの絵を描いたのがWPBAのジャネット・リーであることが表示されています。
ジェリーに「どうしてタイトルが The Other Side なのか? 」と聞いてみたところ、プロプレーヤーやキューメーカーなどのビリヤードに関わる仕事の他にミュージシャンという別の一面を持つ人たちが作ったものだからなのだそうです。
「天は二物を与えず」という諺がありますが、複数の分野で才能を発揮する人たちというのは少なからずいるものです。
キューショップジャパンには、マクウォーターキューの高級モデルで「ベネチアン」と呼ばれるデザインのものがございます。精緻な工作精度を誇るマクウォーターキューをぜひご覧ください。