リチャード・ブラック
テキサスの大御所キューメーカー、リチャード・ブラックの作品です。
お歳を召してからは豪華絢爛なキューばかり製作しているイメージがありますが、もともとは12種類の伝統的な基本デザインでキューを作っていました。
ブシュカ、アラモ、ブラックバロンといった有名なデザインがあります。
フォアアームはメイプルに黒檀の4剣で、4枚のベニヤが入っています。
赤色が鮮やかです。
バットスリーブは黒檀にメイプルのウインドウが入り、それが円弧のインレイでつながれているデザインです。
この円弧のインレイがなければザンボッティと見まがうようなキューです。
こんな小さなインレイだけでキューのイメージが大きく変わり、リチャード・ブラックらしさが醸し出されています。
バットキャップはデルリンです。
キュー尻はぶつけやすいので非常に丈夫なデルリンは最適な素材なのですが、接着剤や塗料がのりにくいという性質もあるため、バットスリーブへの取り付けには工夫が必要です。
ジョイントは14山のパイロテッドで、ステンレスのジョイントカラーが付いています。
リングワークもザンボッティ風で、伝統的デザインを絵にかいたようなキューです。
サインと製作年月が入っています。
1986年12月となっています。
こういった手書きサインは多くのキューメーカーが採用しており、メーカーの特定や製作年度を知ることができて大変ありがたいのですが、リフィニッシュすると消えてしまうのが難点です。
個人的にはバットキャップにロゴマークを刻んでくれるのが一番いいと思います。
ロゴマークのデザインセンスもキューメーカーの実力を示す一部ですからね。