ジナキュー50周年記念モデル
今回はちょっと番外編です。
豪華なジナキューの50周年記念モデルです。掲載した写真は製作者であるアーニー・ギュテレスから送ってもらったものです。
多くの方には説明の必要もないと思いますが、ジナキューは最も人気のあるカスタムキューの一つと言えるでしょう。
独創的なデザインと安定した高品質で、カスタムキューの最高峰に位置しているといっても過言ではありません。
ジョスウエストと並び早くからコンピューターによるデザインとNC旋盤を導入したことで知られていますが、それは高品質を維持する要因のごく一部であり、材料の選定から仕上げに至るまでの間に驚くほどの細かいこだわりがあるのです。
例えばNC旋盤で部品を削り出しても、それを使う前に必ず自分の目で確かめて、必要なら何度でも削り出しをやり直すというところをスタッフ野田は実際に見たことがあります。
フォアアームです。
黒檀に浮きハギのデザインで、縁取りやリングワークに14金がふんだんに使われた贅沢な作りです。
当然ながらこういった細工を入れるためにアーニーの工房には金や銀の板材が保管されています。それだけでもひと財産ですから盗難対策として工房には看板の類は一切なく、入り口はフェンスで閉ざされていて、その内側に番犬が飼われています。
昔はドーベルマンのロッキー、今はロットワイラーのダッチェスがアーニーの留守を守っています。
バットスリーブもフォアアームと同様のデザインです。
グリップは象の耳の革が使われています。
革の端にジナキュー独特の2本線が型押しされています。
これはキューを旋盤で回しながら、象牙の板材を押し付けて加工します。
木では柔らかすぎ、金属では硬すぎて革が切れてしまうので、象牙の板がちょうど良いのだそうです。
ジナキューのアニバーサリーモデルは過去に30周年と40周年モデルが作られました。
アーニーはもう高齢で引退も間近と思われますので、この50周年モデルが最後となり、60周年モデルはとても作れないでしょう。