PADGETT CUSTOM CUES
カリフォルニアのキューメーカー、ティム・パジェットのキューです。
名匠バート・シュレーガーの弟子としてキュー製作を学んだキューメーカーです。
優れたビリヤードプレーヤーだったパジェットは、キューの修理をシュレーガーに依頼したことが縁となって弟子入りすることになりました。
そして1986年、パジェットはシュレーガーに学んだ技術を活かしてパジェット・カスタムキューを立ち上げました。
製作本数は年間50本以下という少なさで、同じデザインのキューは作らないというポリシーでした。これは本人のこだわりも勿論ですが、シュレーガーの影響も少なからずあったのだと思います。
コンピューターなどは使用しておらず、オリジナルデザインのインレイ用テンプレートをいくつも作って手動のパンタグラフマシンでインレイを入れていました。
フォアアームです。
黒檀のバットに青いベニヤが付いたココボロのハギで構成されたオーソドックスなデザインです。
ダイヤとドットのインレイがハギの中に入っています。
ちょっとハンター・クラシックキューのようなテイストのデザインですね。
ハギの先端にも同色のベニヤで縁取られたダイヤ型インレイが入っています。
バットスリーブです。
フォアアームとマッチングさせた、青ベニヤで縁取りされたウインドウにダイヤとドットのインレイが入っています。
リングワークも同色のベニヤが使われています。
全体に統一感があるデザインです。
ジョイントです。
シュレーガーの流れを汲む、10山の長いジョイントピンが使用されています。
ピンが長すぎて汎用の10山シャフトが最後まで入りきらない場合があったりしますので、シュレーガーやパジェットキューをお持ちの方はご注意ください。
シャフト側のカラーにも青ベニヤのリングが配されています。
ちょっとかすれていますが、キュー尻に「PADGETT」のネームが入っています。
殆どのパジェット・キューはバットキャップにこのようにネームが入っています。
リングワークのベニヤの青さがお分かりいただけると思います。
シュレーガーにキュー製作を教えられたキューメーカーはたくさんいますが、パジェットはその中でもシュレーガーの跡を継ぐと思われていたほど優秀な腕前でした。
近年はもう新たなパジェット・キューは製作されていないようで、せっかくの技術と経験を活かしたキューを見れないのが残念です。
技術と経験は実践しなければ得られませんが、知識は書籍でも得られます。
これはスタッフ野田の経験から言うのですが、読むだけでちょっと腕前が上がるということが実際にあります。そのために私は昔ビリヤードの洋書を何冊も取り寄せて読んでいました。
現在は優れたビリヤードの参考書がたくさんありますので、ぜひどうぞ。