DAVID PAUL KERSENBROCK
カーセンブロックです。
「デュアリティ(二重性)」と呼ばれる、カーセンブロックを代表するデザインの1つです。
生と死の2つをモチーフにしているという説があるそうですが、真実は製作者のみぞ知るといったところです。
カーセンブロックは兵役でベトナム戦争に従軍し、帰国後にキューを作り始めたのですがベトナム戦争の影響で精神を病んでしまいました。
そのために常人には理解できない意味不明のデザインを施したキューが多いのですが工作精度は一級品で、たった一人で手作業で作ったものとは思えない超絶技巧技が駆使されています。
製作本数も非常に少なく、それゆえにコレクター垂涎の的となっているキューです。
フォアアームです。
バーズアイメイプルに独特の形をしたインレイハギが3本入れられています。
ハギはメイプルとボコテの組み合わせでできていますが、縁取りとなっているボコテが意図的に中のメイプルの形とずらされています。普通の人なら周囲を均等な幅で縁取りしようとするところでしょう。
バットスリーブです。
この独特の形が二重性を表していると言われています。
バットキャップにはイニシャルのDPKが入っています。
ちなみに近年になって改名してDMKになったようです。
カーセンブロックには決まった形のロゴマークはなく、手書きサインでネームやイニシャルが入っていることが多いのですが、それらが全く無いキューもあります。
バットキャップ底部周囲が膨らんでいるのがお判りになると思いますが、これはオメガ/DPKキューの特徴で、このキューはカーセンブロックによって作られていますが、オメガ/DPKのブランドで販売されたのではないかと思われます。
オメガ/DPKはもともとマイク・ベンダーがキュー製作をしていたオメガキュー(Omega Cue Company)にカーセンブロックが協力するようになり、オメガ/DPKとなったものです。
ジョイントです。
ジョイントカラーはイージスという樹脂で作られています。先角にも使用される素材です。
ジョイントピンやジョイントキャップにはオメガ/DPKキューの特徴が見られます。
つまりこれは、カーセンブロックがオメガ/DPKのジョイントやバットキャップを使って作ったものであると思われます。そのため製作作業の一部をオメガ/DPKの職人が行なった可能性がありますが、主要部分がカーセンブロックの手によるものであることは明らかです。
オメガ/DPKはキューメーカーとしては6年ほどの短い寿命でしたが、その間にカーセンブロックは密接に製作にかかわり続け、オメガ/DPKのロゴや特徴を併せ持つカーセンブロック製のキューが何本か製作されました。ごく一部にだけカーセンブロックが手を加えたといったキューもありますが、このキューはほとんどカーセンブロックの手によると思われるため、カーセンブロックキューとしてご紹介しました。
日本にも品質ではカーセンブロックに負けないキューがたくさんあります。