SKIP WESTON CUES
珍しいスキップ・ウエストンのキューです。
ペリー・ウエストンというキューメーカー(故人)もいるのですが、もちろん両者には何の関係もありませんし、製作しているキューのコンセプトも全く異なります。
凄腕のビリヤードプレーヤーだった彼はモノを作ることが好きだったため、当然のようにキューの修理、そして製作を始めました。
ザンボッティを手本としたために、その影響を強く受けています。
どこにもサインやロゴマークの類はないので、このキューがザンボッティだと言ったら信じてしまう人が多いかもしれません。
フォアアームです。
バーズアイメイプルに黒檀の4本ハギデザインです。
ハギには4枚のベニヤが入り、ハギの中にはドットとダイヤのインレイがあります。
スキップ・ウエストンのベニヤは独特の製法で、左右一体で作られています。つまり、頂点に合わせ目がないのです。
ジョイントにはダッシュライン、グリップとの境目にはブシュカリングと、伝統的デザインの見本市のようなキューです。
ハギ部分のクローズアップです。
このインレイデザインはザンボッティでもよく用いられるパターンです。
4枚のベニヤの様子がよくわかります。
メーカーによって色の組み合わせがある程度決まっていることも多いので、これによってメーカーの特定や真贋の判断ができたりします。
スキップ・ウエストンの場合は、いわゆる染色された色板を使うのではなく、木が本来持つ色を活かしています。また多くの場合、最も外側のベニヤはハギと同じ木を使うことが多いのも特徴です。
このキューの場合、外側から黒檀・ローズウッド、イエローハート、メイプルでしょうか。
バットスリーブです。
黒檀にハギの中のインレイと同種のものがアレンジされて入れられています。
バットキャップとの境目には白いリングをハギにいれられているのと同色のベニヤで挟み込むデザインとなっています。
こういったマッチングデザインの工夫がなされているかどうかでメーカーのデザインセンスやこだわりが分かります。
お持ちのキューの細部をよく見直せば、気づかなかったメーカーの工夫が発見できるかも。
ジョイントです。
こちらも伝統的な3/8-10山のフラットフェイスジョイントです。
ちなみにザンボッティはそのほとんどが5/16-14山パイロテッドなのですが、少数ながら10山のものも存在します。
特製のカスタムジョイントキャップが付属しています。これもザンボッティ風のデザインとなっています。
伝統的デザインというのは決まったパターンの組み合わせとなることが多く、それゆえにメーカーの特色を出すことが難しくなるとも言えます。
ベニヤやインレイの微妙な形の違いなどで他のメーカーと差別化をしようとしても、それを分かってくれる人はごく一部のマニアックな人たちだけの場合が多いのです。
キューショップジャパンには、結構マニアックな商品もあります。