マイフェイバリットキューでは3本目のご紹介となるサムサラ・キューです。
有名なブランドなので、使ったことがあるという方もたくさんいらっしゃると思います。
創業は1991年で30年以上の歴史があり、デイブ・ドーセットとジム・スタダムの二人が協力して製作していました。「いました」と書いたのは現在はそうではないということなのですが、それについては記事の最後で説明します。
親子や夫婦などの家族でキュー製作をすることは時々あるのですが、気の合った友人同士というのは珍しいです。サムサラ以外ではダン・ジェーンスとビル・ストラウドで立ち上げたジョスの例がありますが、結局ビルが独立する形で離れています。やはり人にはそれぞれの考えや目標とするもの、作りたいものがあり、それらが完全に一致することは難しいのでしょう。

さて、今回ご紹介するサムサラ・キューは、大変珍しいジャンプ&ブレイク・キューです。

タップと先角が一体成型のように見えますが、別部品となっています。オリジナルではブレイク用のサムサラタップが付いていましたが、現オーナーさんが黒いエボナイトのタップに付け替えています。
ご覧のようにバットが2分割でき、ジャンプキューとして使用できるようになっています。

フォアアームです。
ハギもインレイもないストレートのキューなのですが、全体に虎斑模様の杢目がよく出たカーリーメイプルが使用されています。

グリップとバットスリーブ部分も同様にカーリーメイプルです。
リングしか装飾のないストレートのキューは、杢目が命と言っても良いでしょう。ハギやインレイがあるキューではベースとなる銘木に節やシュガーラインなどがあっても、その部分にそういった装飾細工を入れて隠すことができるのですが、それができないストレートのキューでは広範囲にわたって全面に杢目が良く出ている材料を使う必要があります。さらにこのキューはノーラップなのでグリップ部分にもそれが求められるのです。
リングにはココボロが使用され、バットキャップには「Samsara」のネームが入っています。
尻ゴムは「S」の文字を用いたロゴがあしらわれたサムサラ独自のものがつけられています。

ジョイントです。
ユニロックジョイントとなっています。初期のサムサラは5/16-18山のジョイントでしたが、ユニロックが発表された際にいち早くこれを採用したキューメーカーの一つでした。
ジョイントカラーは装飾リングに合わせたココボロとなっています。

こちらはバットの分割部分のジョイントですが、やはりユニロックになっています。
ジャンプ&ブレイク・キューなので、すばやく着脱ができるユニロックを採用したのではないかと思われます。

さて、冒頭に書いたサムサラは2人で製作していたが現在はそうではないという件についてですが、実は2023年12月29日にデイブ・ドーセットが死去していました。スタッフ野田は少し前から新しいサムサラキューが市場に出てこないと感じていたのですが、これを知って合点が行きました。キューのデザイン・製作はデイブが担当する部分が多く、その彼が以前より具合が悪かったため製作本数が激減していたようです。
現在はもうほとんど新しいサムサラキューを目にすることはなく、このまま消えていってしまうかもしれません。他のメーカーとは一線を画すユニークなキューだっただけに、大変残念です。
誰かが技術を受け継いで製作を続けてもらえたらと願うばかりです。

ジャンプ&ブレイクキューは「1本で二役」という便利さから人気があります。
携行本数が増えてかさばったり、キューケースが重くなるのが嫌だという人にはうってつけです。

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