コグノセンティです。人気のあるキューだったので、ご存じの方も多いでしょう。
しかし製作者のジョー・ゴールドはもう何年も前にキューの製作をやめてしまっており、再開される様子はないようです。
ジョー・ゴールドは家具の製作で木工と金属加工の知識と経験があり、さらに彼はシカゴ近辺では名の知れたビリヤードプレーヤーだったので、キューメーカになる下地は十分でした。そして彼は友人だった名匠クレイグ・ピーターセンがキューを製作するのを目の当たりにしてキューメーカーになる決意を固め、工房の場所と設備を整えて、1980年代末にコグノセンティ・キューの製作を開始しました。
独特のデザインセンスとエポキシ樹脂のジョイントピン、そして高品質さで90年代中ごろにはすでに大人気のキューになっていました。
フォアアームです。
黒檀に白素材と銘木で作られた浮きハギが入っています。
このようにインレイによる浮きハギデザインであることがコグノセンティの大きな特徴の1つになっています。
コグノセンティのハギにはそれぞれ名称が与えられており、このキューのデザインには「デファイオリ・ポイント」という名称が付いています。
ハギの部分のクローズアップです。
ハギとハギの間には白素材でラインとスピアのインレイが入っています。これもコグノセンティでよくみられる特徴的なデザインで、シルバーでラインやドットのインレイが入っているものも多いです。
バットスリーブです。
フォアアームに入っているハギとインレイを逆向きに短くしたデザインになっています。
シルバーと黒が交互になった飾りリングの様子がよくわかります。このリングもコグノセンティの特徴の1つです。
ジョイントです。
独特のネジ山を持つG10ガラスエポキシ樹脂のジョイントピンを使ったフラットフェイスジョイントです。
ジョー・ゴールドは、キューの中央に位置するジョイントに真鍮やステンレスなどの重いものを配置することは避けるべきだという考えを持っているため、G10やチタンといった軽い材質のものをジョイントピンとして採用しています。
また、コグノセンティは特注のもの以外は通常のキューよりわずかに全長が短くなっています。一般的なキューは全長が58インチ(約147センチ)なのですが、コグノセンティは57.5インチ(約146センチ)になっています。
スタッフ野田は、この0.5インチの違いにどういった意味があるのか、いつかジョー・ゴールドに聞いてみたいと思っているのですが、どうやらその機会はなさそうです。
7月27日~28日に日本で初の試みとして、国内のビリヤードに関するメーカーが集まって製品の展示・販売を行なう「ジャパン・ビリヤード・フェア(JBF)」が開催されます。
高級カスタムキューも展示販売されますので、興味のある方は(ない方も)ぜひお越しください。