こんにちは、スタッフ野田です。
羅立文(ローリーウェン)プロによる14-1解説動画その20です。
例によって1球ずつ次に何をしたいかを説明しながら撞いてもらっています。

それでは早速動画をご覧いただきましょう。

前回は手球とブレイクボールとなる①がヘッドライン上に並んでいましたが、今回は1ポイントライン上に並んでいます。


前回はサイドポケットぎりぎりに手球をクッションさせないと1クッションではラックに当たらないため2クッションさせましたが、この配置ではヒネリを強くしておけば手球を長クッションに入れる位置がそれほどシビアではなくなったために、危険度の高い2クッションでラック底部に当てるブレイクを避け、1クッションでラックの側面を狙いにいきます。

ブレイク後の配置です。
手球はフットレール寄りに止まりましたが、的球がそこそこに散れば狙える的球ができる可能性は高いです。
今回はラックがきれいに割れ、次に⑦かテーブル中央付近にある③を狙うことができます。
羅プロは⑦を入れ、次にフットクッション際の⑬を狙います。
⑦を狙うと手球は⑮に当たりますが、ゆっくり撞けば問題なく⑬に出せます。

⑦を入れて⑮はコーナー穴前に残りました。
⑬には30度くらいのフリがあるので、1クッションで手球をラック範囲周辺にある的球の集団にぶつけてさらに散らすことができるのですが、このように隙間がある的球の集団を散らす際には注意が必要です。
それは上手く手球を当てないと的球がたいして散らないばかりか、手球が的球間の隙間に入り込んで手詰まりになる危険があるからです。
羅プロは配置を読んで、手球を⑭の手前に当てに行きます。

⑬を入れたところです。
手球は⑭→⑤→⑧→③と当たって見事に的球の中を抜けていきました。
手球がラック範囲内に留まる可能性もあったのですが、その時に助けとなるのが穴前の⑮です。
保険としてこの⑮があるので、少々危険なプレーも可能になるのです。
おそらく羅プロは悪くても⑩か⑮のどちらかは次に狙えるだろうと予測していたと思います。
次に狙えるのは③と⑮で、③がちょっと遠いですがコーナーにまっすぐなので、羅プロは
この③をストップで取り、次に⑨⑭のコンビを狙います。
しかし⑨と⑭の間は球2個分以上あって簡単なコンビではない(羅プロは難しくないと言っていますが、それは彼のレベルでの話です)ので、スタッフ野田はあまりこの方法はオススメしません。
もちろんコンビに自信のある方はこの方法で良いのですが、例えばこの配置から⑮→⑩→②もしくは、③のあとに②から1クッションで手球を⑨か⑭に当てに行くといった方法なども考えられます。
これはスタッフ野田の推測ですが、羅プロがコンビしたのは、余計な的球を動かしたくないという思いがあったからではないかと思います。
的球の配置はかなりバラバラになっており、下手に的球を動かすと新たなトラブルを作り出してしまう危険があります。
そうはいってもラック範囲周辺の的球を何らかの方法でさらに散らす必要があるのですが、その時に次の的球が見えなくなる危険を避けるためにある程度的球の数を減らしておきたいのです。

③をストップで取って⑨⑭のコンビ狙いのポジションを取りました。
コンビが成功すれば、手球は②と④の間にポジションする想定です。
羅プロはこのコンビが難しくないと言っていますが、前述の通り決して易しい配置ではありません。羅プロはコンビを得意としている(スタッフ野田は彼のプレーを何年も観察していてそう思います)のでこの方法を選びましたが、真っすぐとはいえポケットまで距離のある③を入れる際に手球をぴったり止めることは案外難しく、もし⑨⑭にフリがついてしまったらこのコンビは非常に難しくなります。
コンビが成功するかどうかは③を入れるショットで決まると言ってもよいでしょう。

コンビで⑭を入れることに成功しました。
手球は予定通り②を狙える配置となりましたが、④が遠いコーナーに真っすぐになったので、先にこれを入れに行きます。
基本的にクッション際にある的球は手球のポジションを制約するので、特に利用価値がないのであればなるべく早く取り除いておくべきです。

④を入れたところです。
羅プロとしては②にもっと大きなフリを付けたかったようです。
もう少しフリがあれば1クッションで⑨、⑩、⑮に容易にポジションできます。
強く撞けば1クッションでのポジションも可能ですが、手球が遠いために撞く時の態勢が悪いので、羅プロは安全を考えて左ヒネリを加えた押しの2クッションで⑩に出しに行きます。

上手く⑩にポジションできました。
手球が⑩に当たってしまう危険がありましたが、その場合は穴前の⑮で次につなげる方法を考えることができます。
こういった保険球があることは14-1ゲームにおいて非常に大きな助けになることがよくあります。
ちなみにこれはボウラードなどのエニーボールのゲームでも同様で、安易に穴前の球を取りにいかないようにすることが高得点につながります。

⑩の次は⑮を入れるのですが、問題はその先です。
残っている的球の中で最大の障害となっているのはラック範囲の中央付近に居座っている⑫で、これが他の的球をポケットするコースをふさいでいます。この⑫を入れられるポジションが取れればベストなのですがそれが難しいのです。
また右寄りにある⑥と⑧がくっついているのでこれも何とかしなければなりません。
更に⑮を入れるともう残り球が6個しかなく、これらの問題を早急に解決する必要に迫られているのです。
⑮が保険としてあるので⑩から手球を強打して的球を散らしに行くという手もありましたが、⑩はかなり厚い配置で、しかも⑫の球越しのショットだったため、羅プロは避けたものと思われます。羅プロは⑮から⑤へ厚く出し、次に⑫を狙いに行きます。⑤から⑫に出せるポジション範囲をグレーで示しましたが、ご覧の通り非常に狭くて難しいものです。

⑤にポジションしたところです。
何の変哲もないショットのように見えますが、前述の通りこれは⑫へつなぐための⑤へのポジションの範囲が非常に狭い大変デリケートなタッチが要求されるものです。
今回の取り切りの中で一番のナイスショットだと思います。
羅プロは事前に「次は⑤」と言っているので、この難しいショットにチャレンジしたのは間違いないですが、一応ポジションに失敗した場合のことも考えていると思われます。
力加減が弱くて⑪がカブって⑤が見えなくなったり、逆に強すぎて⑤が薄くなってしまった場合は、⑨を使って別の方法をとることになったでしょう。
難しい配置ですがブレイクボールの候補が複数あることがまだ救いです。

⑤から⑫にポジションしました。
これも微妙な力加減のコントロールが必要なショットですが、羅プロは見事に成功させました。
⑫はちょっと薄いですが、ここからなら⑥⑧がブレイクできます。

⑫を入れて⑧をサイド前に動かし、手球は⑪にポジションできました。
ここでやっとブレイクボールが⑨に決まります。
ずいぶん苦労しましたが、やっと楽な形になったというところです。
次は⑪で、その後⑥→⑧となります。

厚い⑥を入れてキーボールとなる⑧を左フリにします。
そうすれば短長の2クッションでブレイクポジションを取ることが簡単にできます。
もし厚くなってしまったら直引きでもポジションできます。
ブレイク可能範囲はかなり広いので、失敗することはほとんどないでしょう。

ブレイクポジションは問題ないはずでしたが、手球はサイドポケットに向かってしまいました。
手球は間一髪のところでポケットの角に引っかかって運よくブレイク可能な位置に跳ね返り事なきを得ましたが、あやうくせっかくの苦労が水の泡になるところでした。
もう少し引きもしくはヒネリを強くしておけば安全に2クッションさせられたでしょう。
ブレイクへのポジション範囲が広いことによる気のゆるみが引き起こした危険なプレーです。
最後まで油断せずに、より良いポジション、より安全なポジションを目指しましょう。

今回のラックは最初のブレイクできれいに的球が散ったので楽勝だと思われた方も多かったかもしれません。しかしここまでご覧いただいてお分かりいただいたように、必ずしも簡単になるとは限らないのです。むしろ何個かの散らばった的球を片づけた後に残ったクラスターをセカンダリーブレイクで散らすというパターンの方が取り切れる可能性が高いともいえるのです。
今回はセカンダリーブレイクと呼べるようなショットがなかったことにもご注目ください。

この動画で使用されているダイナスフィアボールは、高品質で視認性の良いことで知られており、アマチュア連盟(JAPA)の公式ボールとなっており、すべてのJAPA公式試合で使用されています。使い勝手の良いボールですので、ぜひお試しください。

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