こんにちは、スタッフ野田です。
世の中にはどの分野でも変わった人がいるもので、ビリヤードの世界も例外ではありません。
ビリヤードの歴史に長く残るような傑作を作る人もいれば、誰にも振り向かれることなく消えていくメーカーもあります。
アメリカ人には、とても売れるとは思えないような物でも己のアイディアを信じて失敗を恐れずに商品化してしまうというバカなところバイタリティがあります。
現在でもビリヤードエキスポなどで「革新的な新製品!」などと謳われて紹介される商品をよく目にしますが、実際に使ってみると思うような効果がなかったり、想定していなかった不具合があったりして短期間で消え去る運命のものが多いのです。そして、そのような哀愁漂うアイテムにもスタッフ野田は愛着を感じるのです。
そういうわけで、このブログでもそのような変わり種ビリヤード用品を時々ご紹介しようと思います。
さて、ビリヤードの道具といえば第一にキューが挙げられますが、今回は人知れず消えていったキューをご紹介したいと思います。
キューの名前は「POWER-Q」です。
といっても、実は私は現物を見たことがありません。
1990年8月のBilliard Digest誌に掲載された広告です。

まず、キャッチコピーの、「MAY THE POWER BE WITH YOU」(パワーと共にあれ)が面白いですね。
ご存知、映画スターウォーズの「MAY THE FORCE BE WITH YOU」をもじったものです。
これを見ただけでどんなものか見当がつくでしょうか。
この写真ではバット部分のみでシャフトが写っていませんが、実はバットの中にシャフトが内蔵されているのです。
内部にはスプリングが仕掛けられており、シャフトを押し込んでスプリングを圧縮・固定し、リリースボタン(反対側にある)を押すとスプリングの力でシャフトが一気に突き(撞き?)出るようになっています。
シャフトを押し込む量で力加減が調整でき、プレーヤーは、狙いをあわせるだけでストロークする必要がないわけです。
通常のショットはもちろん、引き球やジャンプショットなども可能で、シャフトがいっぱいに出たところでロックすれば普通のキューとして使うこともできるようです。
しかもこの広告によると、BCA(アメリカビリヤード協会)の認証を得て、トーナメントでの使用も合法的にできるとあります。私がBCAの役員だったら、絶対に認めませんね。
当時、Billiard Digest誌を購読していた私はこの広告を見て、「これは絶対に短期間で世の中から消える!」と確信し、1992年に新婚旅行(!)で渡米した際にビリヤードショップでこの広告を見せ、これが手に入らないかと聞いたのですが、店員は"It's a junk."(ガラクタだ)といって相手にしてくれませんでした。
新婚の嫁さんの冷たい視線に耐えながら何軒もの店を回りましたが、すでに市場から完全に姿を消しており、どうにもなりませんでした。時すでに遅し!
この件がトラウマになり、珍しいものを見つけると「なくなる前に買え!」という脅迫観念が働き、おかげで珍品アイテムのコレクションもずいぶん増えました。
そんなわけで、私にとっては幻の一品になってしまったのですが、もしどなたかこの「オモチャ」をお持ちの方がいらっしゃったら、ぜひ見せていただきたいです。

さて、時は過ぎて2010年のスーパービリヤードエキスポを訪れた私はこんなキューにお目にかかりました。

まるでライフルの銃床部分を除いて銃身と機関部だけにしたような外観ですが、なんとこの製品名が「パワーキュー」!
正式名称は「Pneu Power Cue」といって、グリップ下部にガスボンベが取り付けられ、引き金を引くとボンベの高圧ガスの力でシャフトが突き出る仕掛けになっています。
スプリングをガスに置き換えたPOWER-Qだと言って差し支えないでしょう。
買ってやろうと思ったのですが、まだ試作品しかないとのことでした。
その後、しばらくして雑誌に広告が出ているのを発見しました。

「何が起こるか分かりますか ではやってみましょう、引き金を引いてください」という宣伝文句です。

しかし果たして販売までこぎつけたかどうかは不明で、翌年のエキスポではもう姿を消しており、ここに表示されているURLも無効になっていました。

皆さんも絶版アイテムを発見して買おうかどうしようか迷ったら絶対買っておくべきです。
買ってする後悔より買わなくてする後悔の方が大きいですよ。

 

在庫切れになったら二度と手に入らないかもしれないキューもあります。

 

あなたのキューをMy Favorite Cueに掲載しませんか?

「My Favorite Cues」ページでは、皆様のお気に入りキューを紹介するページです。

自慢のマイキューをこちらのページに掲載ご希望の方は、キューショップジャパンLINEで直接写真を添付送信ください。キューショップLINEはこちら
必要な写真は以下の4点となっております。

①全体 ②フォアアーム ③バットスリーブ ④ジョイント

※写真角度などは紹介されているキューをご参照ください。
※お客様のこだわりや自慢のエピソードなどもございましたら、是非メッセージご記入をお願い致します。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事