こんにちは、スタッフ野田です。
「ルールについて その2」です。
前回はBCAのルールブックを3冊ご紹介しましたが、NBAルールブックもウェブ上だけでなく、印刷された書籍の形のものが存在します。

NBAルールブックの第1版です。
バラつきのあったビリヤードのルールをまとめて成文化した国内で初めての公式ルールブックでしょう。
発行は2005年となっており、さすがに最初の物だけあって内容が不足しているところなどがありますが、NBAとして公式ルールを定めたという意義は大きいと思います。
しかしながらルールは状況によって変更されていき、そのたびに新しいルールブックを出版することは現実的ではないため、現在はウェブ上に最新ルールを掲載してそれを参照することになっています。

では問題です。ゲームはナインボールです。
プレーヤーAはファールを犯したため、プレーヤーBのフリーボールとなりました。
残りは8番と9番だけの簡単な配置です。
レフリーのあなたがファールを宣告するのを確認したBは、テーブル上の手球を取りに行くのが面倒だったので、キューで下図のように手球を撞いて、手元にもってきました。
それを見たAは「Bはショットをした」とあなたに言ってきました。
つまりファールだというわけです。あなたの判断は?
         ↓

プレーヤーは「今からショットをするぞ」といちいち宣言することはしません。
したがって、何をもって「撞いた」と見なすかということになるわけですが、これはルールでは「キューの前進運動によりタップが手球に接触すること」と定義づけられています。つまり、たとえタップが手球に接触しても、キューを横方向に動かしていたのならそれはショットをしたことにはならないというわけです。
しかし問題のケースでは、Bの行為は上記の条件をすべて満たしています。
もしプレーヤーAがこの行為を黙認していたならあなたも何も言わなくていいでしょう。Bにショットの意志がないのは明らかだからです。
しかしBがショットをしたのではないかと問われている今、レフリーであるあなたはルールに従ってショットをしたと言わざるを得ません。プレーヤーBの不注意が招いた悲劇です。
フリーボールで手球を置いた後にキュー先で位置を微調整することがありますが、その際も決してタップ先端で押し出すような動作をしないように気を付けましょう。

次の問題もナインボールで、下図のような配置となりました。
        ↓

前の問題同様に残りの的球は8番と9番だけの簡単な配置です。
プレーヤーAがストップショットで8番をサイドに入れたところ、いったんポケットに入った8番が跳ね上がってテーブル上に戻ってきてしまいました。
ショットの結果、手球は勿論、ポケットから飛び出した8番もクッションには入りませんでした。
これを見た対戦相手のプレーヤーBはノークッション・ファールだと主張してきました。
あなたはこれを認めますか?
          ↓

これはごくたまに起こる現象で、スタッフ野田も何度か経験があります。
動画をご覧ください。

的球は一旦ポケット内に完全に沈んでいるのですが、一瞬おいてポケットから飛び出しています。
再生スピードをx0.25にしていただければその様子がよくお分かりいただけます。
ビリヤード歴の長い方なら経験があるでしょう。

日本では少数派ですが、アメリカにはドロップ・ポケットとかバケット・ポケットと呼ばれるポケットされた球がレシーブ・ボックス(集球箱)に戻らず、ポケットの中に溜まるタイプのテーブルが沢山あり、あまりポケットの中に的球を溜め込むと飛び出してきてしまう危険性が高まります。そのため特に強く撞くショットをする前などは、ポケットの中をチェックして、必要なら溜まった的球を他のポケットに移したりします。
しかしドロップ・ポケットでなくてもこの現象は発生し、完全に防ぐためには弱く撞くしかありません。
的球がポケットに落ちる角度と的球にかかった回転が絶妙なタイミングでマッチするとポケットの中をせり上がってきてしまうようです。

さて、ルールではどうなっているかというと・・・
驚いたことにもしNBAルールを厳密に適用するならこれはファールになってしまいます。
NBAルールのノークッション・ファールの定義は「手球が的球に接触したあとに、いずれかの球がポケットされるかもしくはクッションに当たらなければファール」となっており、ポケットライナーと呼ばれるゴムや革でできた球を受け止める部分をクッションの一部とみなすという記述がありません。
更に言うと、「クッション」という表記になっているので、もしボールがジャンプしてクッション以外のレール部品に当たってテーブルベッド内に跳ね返って戻ってきた場合はどうなのかという問題もあります。
レール(Rail)とは、クッションを取り付けてあるテーブルの枠全体を指す言葉です。
WPAルールでは「No rail after contact」といった表現で手球が的球にヒットしたあとどのボールもレールに入らない場合となっており、この「レール」の定義にはポケットライナーが含まれるとしているので、WPAルールを適用するならこのケースはセーフとなります。
ノークッション・ファールのルールが作られた目的は、手球をほんの少しだけ動かすという安易なセーフティが繰り返されることを防ぐためのもので、その意味からしても的球が戻ってきてしまった場合はファールとされるべきではないでしょう。
スタッフ野田はプロテストのボウラード・ゲームをしている最中にこれが起こるのを目撃したことがあるのですが、そのときはスコア管理を担当していたプロの人が的球をポケットに戻してミスカウントせずにゲームを続行させていました。
これは私も妥当な処理だと思ったのですが、実はWPA、NBAルール共に「ポケット内から飛び出してきた的球はポケットしたとはみなされない」という記載があります。そのため、WPAルールでゲームを行なっていた場合、このケースはファールではないものの、どの的球もポケットされなかったとしてプレーヤーBに交代することになります。
不運なプレーヤーAには同情しますが、ルールはルール、どうしようもありません。
納得いかない場合はNBAなりWPAなりに抗議の手紙を書きましょう。

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